現代ドラマという領域は、とても難しい。
如何にも 至極普通 を装いつつも
高い難易度で存在している。そんな気が
するのは自分だけだろうか。
作者の端正な筆致は定評があるが、主に
ホラーの領域で目にするものだった。
だがしかし、この掌編は。
ホラーとも全く違うが、何処か似通った
ものがある。
それが 心理描写 と
気がつく迄に何日かを逸してしまった。
この心理描写が秀逸過ぎるが故に、
様々なモノを読み手の心に残して行く。
さて、物語は。人生に倦み疲れた
或る男が、偶然にも旧友と邂逅する。只
それだけの話ではあるのだが。
見た目から、主人公はこの友人を査定し
独り、心に暗雲を広げて行く。
理解した様で、実は全く違っていた経験は
誰にもあるだろう。それを誤解というが
人の理解の七割方は誤解で出来ている。
偶か、真実を知った瞬間の、あの何とも
言えない心持ち。崩壊と、昇華。
カタルシスにも似た感情を、まざまざと
思い描かされる。
作者曰く、読めば読む程に味わいのある
作品を描きたい、との事。その思いは
間違いなく此処に実現している。
是非とも、この感情の崩壊と昇華を。
心の精錬を追体験してみて欲しい。