あっちの国の人達だって、正確な発音は解らんらしいよ
あたしと智ちゃん、敬太郎君は、
「帰りはちょっと遅くなるから、夕食は要らない」
とそれぞれの実家に電話を入れ、それから雄治の部屋に入った。
雄治と敬太郎君が、邪魔な家具類を部屋の隅によけ、スペースを空ける。そしてテーブルにホットプレートを準備する。その間あたしと智ちゃんが、野菜を洗ってざっくり切る。それから、さっき百均に立ち寄って買ってきたグラスを洗う。
あっという間に準備が整った。早速野菜をホットプレートで炒め始める。そしてグラスにインチキビールを注ぎ、敬太郎君の音頭で乾杯。
「今日はマジで収穫があった」
と雄治が言うと、智ちゃんも頷く。
「ホントホント。あたしも博物館の人達と色々会話して、古墳編年ってのが如何に危ういか、痛感したよ……」
うどん玉を大量投入し、炒める。ちなみに四人で一二玉分。誰がそんなに食べるの!?(笑)
それに野菜も牛細切れ肉も、うどん玉に負けず劣らずスゴい量。確実に余ると思うんだけど。……
「ここ数日、色々な資料に目を通して気付いたんだけど」
と、智ちゃん。
「大威張りで書かれていることを、鵜呑みにしちゃダメみたいだね。それこそ古墳編年の資料みたいに、『○世紀後半頃』なんて書かれてても必ずその根拠を確認しないとヤバいっぽい」
「じゃっどじゃっど~」
と、雄治が頷く。
「ところで敬太郎君の方の作業は、進んでる?」
「おう。もう諦めた。お手上げやわ。わははは」
おいおいおい!! どゆこと!?
「調べて、いろんなことが判った。学者がア○やっちことも判った。んでもって、結局資料不足で結論が出せん問題や……っちことも解った。だからお手上げや。その辺の状況は今、文章にまとめてるから、数日中に掲示板にアップするけど」
「うん。了解」
「つまり漢字の読みの話やけど、卑弥呼邪馬台国時代の漢字の発音は、漢音でも呉音でもないらしい。ちなみに漢音って奴は、
「へぇ~~」
「上古語っちゅうのがあるらしい。それが
「ほう。そりゃ面倒臭ぇなあ……」
「そもそも上古語に中古語、或いは漢音や呉音が正確に判明しちょるのか。実はそれもアヤシいらしいよ。きちんとした資料だとか辞書が残っているわけではない」
「えっ!? マジ?」
「あっちの国の人達だって、正確な発音は解らんらしいよ。色々な学者が様々な仮説を披露し、読み方を提示しちょるとよね。充分な資料が存在せん以上、どの発音が正しいのかは誰も判らん」
「そうなんだ……。じゃあ、漢和辞典なんかに書かれている読みも実は、ホントのところは解らない……ってこと?」
「そうそう。『言葉は生き物』やっち言うけど、あちらの国は百年二百年でどんどんナレッジ喪失が起きてるっぽい」
「にゃるほどぉ……」
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