紗耶香ちゃん、あたしのダーリンを取らないでね
「あたしはね、伊都国の場所って昨日紗耶香ちゃんが言った通りだと思うの。だから逆に、学者がどうして福岡県糸島って言うのか、気になって……。ネットで調べまくっても全然根拠が解らないから、朝から図書館二軒ハシゴ~」
「なるほど。で、『敬太郎君、愛してるぅ♪ 図書館付き合って~(はぁと)』と……」
「そうだよ~。紗耶香ちゃん、あたしのダーリンを取らないでね」
智ちゃんがあたしの冗談にそのまま乗っかり、冗談で返す。でも普段の様子を見てると、智ちゃん結構敬太郎君とべったりだし、まんざら冗談でもないかも。
「というわけでオレは智美ちゃんとラブラブだから、紗耶香ごめん」
敬太郎君までデレデレと頬を緩ませつつ、智ちゃんの冗談に便乗する。おいおい。……
「っちゅうわけで、紗耶香は雄治に任せた」
「え~っ!?
雄治が頬を膨らます。このヤローっ、オマエが拗ねてみせても全然カワイくね~よ!!
「ウソ言うなよ~。お前、紗耶香を学祭のミスコンに推薦するっちゅうて、オレに名前を借りに来たじゃん」
と、敬太郎君。
え!? マジ?
まさか雄治って、実はあたしに気があるの!? それはちょっと……いや、まあOKだけど(笑)
「あのなあ。ミスコンの件は、どうせ智ちゃんは大勢から推薦されちょるやろうし、そしたら紗耶香が推薦されちょらんやろから
あははは。雄治は焦りながら言い訳している。何かちょっとカワイイ。
「それより、敬太郎は何を調べちょった? 何か収穫があったと?」
「ああ」
敬太郎君は、某お笑い芸人にそっくりのゆるゆる顔を引き締める。
「昨日の紗耶香の話が衝撃的でね。それに夜、続報をクラウドにアップしちょったやろ!? あれが面白かったから、朝から図書館に調べに来ちょったとよ。改めて宮崎説視点で本を読むと、印象が全然違うとよね……」
「ほう」
「奴国と伊都国の関係も面白かったっちゃけど、集落やら国の定義に関する話も、面白かったな。あれは盲点やったわ」
雄治と智ちゃんも頷く。
「あと、読み方の違いも気になっちょっとよ。それも調べちょった」
「なるほどな」
「で、雄治は何の本を借りに来たと?」
「
雄治はそう言うと、バッグから先程借りたばかりの本を取り出した。
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