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其れは無いもせぬ箱の隅にて

其れは無いもせぬ箱の隅にて

九十九 那月

おすすめレビュー

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★★★
★11
4人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 淡島ほたる
    25件の
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    ★★★ Excellent!!!

    その災厄は祈りにも似て

    これは、『いない』ものとして周囲に扱われてきた彼女の、胸の裡に秘められた物語です。

    『いなくなる』こと。
    ただそれだけを羅針盤のように抱えて生きてきた彼女に、病という本当の終焉が訪れます。そこで彼女は、真実がらんどうになってしまった自らの『箱』の中身を埋めるべく、あることを実行しようとする--。


    空虚だったふたりが交差したことで、
    想像しえなかった未来がつくられる。
    たとえば、朱と青を混ぜると紫になるような不可思議に似ています。
    それはとても愉快で、尊いものではないでしょうか。

    ひたひたと迫りくる死を、朗らかに、そしてある種の嗜虐性に満ちた感情をもって受けとめる彼女は、たくましくもあり儚くも見えます。

    彼女が遺したものは、彼を縛る枷ではなく、もしかすると彼の行くさきを照らす光なのかもしれません。
    彼のなかで、彼女が生きつづけてくれることを願っています。

    • 2018年9月17日 15:40