蜃気楼




砂漠を

歩いていた

遠くの方に

湖が

見えた

そこへ向かう以外に

わたしに

何か方法が残されているだろうか?

弄ばれていると

知りつつも

一歩一歩、距離を縮めた

そして

辿り着いてみれば

わかるのだ

それは手に触れられない

実際には存在しない水なのだと

頭の中の

幻に過ぎないのだと

わたしはいつかなんとかなるだろうと思っていた

自分の都合の良いようにこの世界を解釈していた

けれど

もう

それも少しずつ

諦めへと変わってゆくだろうという予感はしている

希望には終わりがあり

そして絶望には底が無いのだ

ただ死ぬまでこの渇きの中でわたしは悶え苦しむのだ



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