10話

「そうだ、師匠……!」


 俺は元通りになった街を見て安堵しながらも、師匠のことが心配でたまらなかった。

 師匠の家も俺の剣で元通りになっていた。きっと中にいるんだろう。街中の人たちが無事だったんだ。師匠も無事に違いない。そう思っていたけど、それと同時に嫌な予感がしていた。


 さっき魔王の息子が言っていた言葉が何か引っかかる。


「師匠、無事か!?」


 俺は勢いよく、扉を開けた。


「し、ししょう……?」


 大量の血、それはまぎれもなく師匠の血。そこには首を吊っていた師匠の死体があった。


「ウソ、だろ」


 目の前の現実が受け入れられなかった。


「あああああああああ!!」


 泣き崩れる俺。部屋中には俺の叫び声が響いた。

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