女神たちの仮面
女の敵は女。この言葉を否定するフェミニストたちがいる。しかし、あいつらはどうしようもない偽善者どもだ。
私は、あいつらにいじめられたせいで高校を退学し、風俗嬢になった。しかし、あいつらは皮肉な事に、フェミニストの有名人として成り上がった。
一人は、女性向けアダルトグッズ専門店のオーナー。一人は、非行少女保護団体の主催者。そして、他の二人は、あるフェミニズム小説の作者と翻訳者のコンビだ。
私は、あいつらを絶対に許せない。
私は悪魔と契約した。彼女は今、私と暮らしている。
「メフィスタ、仕事に行ってくるね」
「いってらっしゃい」
私は歌舞伎町にあるデリヘルの事務所に行った。お留守番のメフィスタ…メフィストフィリアは、タブレット端末でYouTubeを観ている。
「ハルちゃん、おはよう」
カンナがいた。彼女は軽度知的障害者の女の子だ。カンナも私と同じく、同性たちにいじめられていた。私は、彼女が他人とは思えなかった。
私はテーブルの上にあるお菓子をつまみ、口にした。そこに、指名の電話が入った。
私は現場を出て、コンビニでおでんを買った。店の前でおでんを食べ、ゴミを持ち帰る。私は事務所に連絡を取り、マンションに戻る。
「おかえり」
「ただいま」
メフィスタは、例の4人についての工作をしていた。彼女はダークウェブを通じて、例の4人の悪い噂を広めている。
「例のミソジニストのネット論客に対しての工作はうまくいっているよ」
「もう一人のネット論客は?」
「ついでに、その二人の同性愛不倫疑惑をでっち上げてやったよ。面白くなるね」
面白い。あいつらと、あいつらの敵どもを共倒れにさせる。私は男も女も憎いのだ。
メフィスタはジャマイカ料理のジャークチキンを作っていた。私はそれをいただく。
「うま~い!」
メフィスタは、柔らかく微笑む。
私はまた、高校であいつらにいじめられる夢を見た。何でこいつらがフェミニストになったのか? 私を敵として迫害した奴らが、「女の敵は女」という言葉を頭ごなしに否定するなんて、とんでもない笑い話だ。いや、笑えないけど。
私はあいつらに呼び出された男たちに乱暴された。その結果が、新宿歌舞伎町の一介の風俗嬢となった私の存在だ。私は親と絶縁し、夜の存在になった。
「ハルカ、あのカルト教団の幹部が逮捕されたよ!」
メフィスタがタブレット端末を見せる。YouTubeのニュース生配信だ。
そうだ、あの4人はあのカルト教団の信者だったのだ。これであの4人の社会的地位も危うくなるだろう。
「メフィスタ、今夜うな重を食べに行く?」
「いいね!」
私たちはニンマリした。これで、しばらくは悪夢に悩まされずに済むだろう。
She has female friends(Big Sisters is watching you) 明智紫苑 @akechi-shion
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