爆破




プリンに顔面を押し付けられ息苦しい

このままではわたしは酸欠で死んでしまう

人類はプリンに顔面を押し付けられた状態で生きる術は無い

わたしはこのプリンを爆破することを決めた

生存

そのために爆破をするのだ

たった今それを決めた

呼吸困難を引き起こす

この根本原因を取り除かなくてはならなかった

その際、世間の戯言は雑音と化す

わたしはこの夏プリンを爆破することを決めたのだった

諸悪の根源

わたしにはそんなことはわからない

きっと頭が悪すぎるからだろう

ただ目の前のこいつの存在はとにかく不愉快だし

このままではわたしは死ぬ

それだけで十分だろ?

爆破

それしかない

プリンは四方八方へと飛び散った

その欠片が通行人に直撃して即死した

プリンは非常に硬かった

今更だがもしかしたらプリンではなかったのかもしれない

甘くてそれっぽい匂いをしてはいたが……

まあいいか

軌道修正など出来やしないし

このまま行くところまで行くしかないだろう

わたしの酸欠を誘発し意識不明へと導こうとした代償を支払ってもらおう

木端微塵に破壊した

死者も出た

それでもいつかは誰かがやらなければならなかったことなのだろう

たまたまそれをやるのがわたしだっただけだ

罪と罰

それについては暇人が考えれば良い

導火線に火が点けられ

あとはわたしも部外者のようなものだった

一番、近くでそれを眺めていた

プリン

気付けば最初からそこにあって

そういったものがわたしの顔面に接近し呼吸をするのを止めようと迫っていた

わたしたちはそういったものをただ黙って受け入れてはいけないのだ

拒絶しなくてはならない

「爆破しろ」

轟音を立て

成層圏から崩れ落ちるカラメルソースでわたしの服は真っ黒に染まった

わたしは最初は白い服を着ていた

その筈だった

けれど今ではその記憶が間違っていたのかもしれないと思えるほどに真っ黒だった

「わたしの服は最初、白かった……」

そう自分自身に言い聞かせてみた

それを他人にも言ってほしかった

けれどもうここには誰もいない

いつからか冷たく寂しい場所へとわたしはやって来てしまっていた



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る