第33話 スカイシティ

「ほら、さっさと空の大迷宮とやらに行こうぜ」

「そうですね」

「うん!」


俺達はアクアシティに三日ほど過ごした。というか無理やり滞在させられた。


「え...もう、行っちゃうんですか?」

「お兄ちゃん達まだいてよ!」

「えーつまんなーい」


こんなことを言ってくる子供がいたり、「せめて、増援が来るまででいいので!」とか言ってくる人達が沢山いたし、セリスとメイもこの街の料理を気にいっていたのだが、俺としてはそろそろ行きたかった。


なぜなら俺達は既に有名になっているらしいからだ。なので後から北神達がここに来るかもしれない。そうなると少し面倒な事が起こりそうなので早くこの街から出たかったのだ。


俺達は空の大迷宮へ行くため、転移を頼むと交換条件を出された。


「空の大迷宮を攻略したらここに戻って来てください」

「わかったから早くしてくれ」


すると、転移のお姉さんが笑顔で近付いてきて耳元で、


「戻ってきてくれたらいいことしてあげるからね」


と言ってきた。俺はそんなことに興味がなかったのだが、セリスとメイが睨んできた。たぶん聞こえていたのだろう。


転移の魔法陣の上に乗るとセリスが不機嫌そうに言ってきた。


「あの女の人と何する気?」

「何もしねぇよ」

「ほんと?」

「本当だ、俺はセリスにしか興味がないって言っただろ?」


そう言うとセリスは顔を真っ赤にした。前はめちゃくちゃ怒ったかくせに今回は恥ずかしがるのか...


やっぱり女の子は難しいなぁと思っていると魔法陣が光りだし、一瞬にして周りの風景が変わった。


「ここが空の大迷宮か?」

「うん!そうみたいだよ!」

「ここが空の大迷宮ですか!」


メイは空の大迷宮を見てすごく感動している。


空の大迷宮はお城のような形をしており、周りにはオーロラのようなものが見えていてすごく綺麗だ。


お城の周りには普通に街があり、すごく賑わっている。


「メイはこういう場所が好きなのか?」

「はい!一度でいいので見てみたかったんです!」


はぁぁ、綺麗♡と言いながらメイは大迷宮を見ている。


俺とセリスは始め、メイがはしゃいでいるなぁと思っていたが、ずーっとうっとりとした目でお城を見つめて動かないので、だんだん心配になってきた。


「メイ、行くぞ」

「行くよ!」

「はぁぁぁぁ綺麗ですぅぅぅ♡」


もうダメだこれは...


そう思いセリスの顔を見ると、セリスも同じように思っていたらしく、呆れ顔をしている。


「メイは置いて、とりあえず宿でも探すか」

「そうしよっか」


俺とセリスはメイを置いて宿を探すことにして、街の中へ入るとガイドのような人に声をかけられた。


「そこのカップルさーん!スカイシティには初めて来ましたか?」

「うん!」

「なら私がこの街を案内してあげましょう!」

「いいのか?」

「はい!私の好きなこの街を知って欲しいのです!」


ガイドのような女の人の迫力はすごかった。俺とセリスが少し引くほどだ。


「あ!遅れてすみません!私のことはエラと呼んでください!」

「俺はソウタでいい」

「私はセリス!」

「よろしくお願いします!ではまずどこから案内しましょう?どこか行きたい場所とかってありますか?」

「とりあえずオススメの宿を紹介してくれ」


そう言うとエラは顔を赤く染め、恥ずかしそうにモジモジしながら、


「えっと、その、そういう大人のホテルはここから少し遠いんですか...」

「誰がそんなホテル紹介しろって言ったんだよ」

「...私は別にそこでもいいよ?」

「え?」


え?ちょっとセリスさん?こんな街のど真ん中でなんつーこと言ってんの!?ほら!周りのカップルまでそういう雰囲気になってんじゃん!


「そ、それじゃぁ行きましょうか!こっちですよー!!」


俺が頭の中で暴走しているとエラが顔を真っ赤にしながら目をグルグルまわして案内しようとする。


まずい、このままでは本当に連れて行かれる!


そう思った俺はとっさにメイのことを話した。するとエラが冷たい目で俺を見つめ、「...二股とか最低。女の敵ね」と言ってきたので、その誤解をなんとか解くとめちゃくちゃ謝られた。


「ではここの宿はどうでしょう?」

「いいんじゃないか?セリスはどう思う?」

「い、いいと思うよ!」


何故か顔を赤く染めている。もしかしてさっきのことを引きずっているのだろうか?


それが気になり、俺のSの部分が顔を出した。


「やっぱりここじゃなくて、大人のホテルにするか?」


セリスの耳元で囁くように言うと、ビクッ!と体が震えた。その反応を見て俺の中のスイッチが完全に入ってしまった。


「図星だったのか?遠慮せずに言えよ」

「.....うぅ〜」

「ほら、言ってみろよ」

「.......る」

「え?」

「...じ...わる」

「ちゃんと言ってみろよ」

「いじわる!!私の気持ち分かってるくせに言わせようとして!ソウタだけ大人のホテルに行っちゃえ!!」


そう言ってセリスは宿の中へ入っていってしまった。


ちょっとからかいすぎたなと反省し、俺も宿の中へ入りセリスを探すとショーケースの中をずっと見ていたのですぐに見つかった。


「何見てるんだ?」

「あれ?ホテルに行くんじゃないの?」

「行かねぇよ、それより何見てたんだ?」

「美味しそうなお菓子!」


確かに美味しそうなお菓子にケーキもある。ソウタはかなりの甘党なのでこういうのを見るとつい買いたくなってしまう。


「どれが食べたい?」

「え?」

「一緒に食おうぜ。あ、そうだ、メイの分も買ってやらないとだな」

「いいの?」


セリスが申し訳なさそうに聞いてくるが、俺はもうこの甘い物を食べたくてしょうがなかった。だってこの世界に来てから甘い物なんか一回も食べてないんだもん!


「もちろん!ていうか俺が食べたいだけだけどな!」


セリスはパァッ!と輝くような笑顔をしながら悩んでいる。


「じゃあこのケーキとタルト!」

「了解」


そして会計を済ませ、借りた部屋の中でケーキを食べた。


「これすげぇうめぇな!」

「うん!このタルトも美味しいよ!」


そう言ってタルトを俺の口の前に出してきた。世間一般で言う「あーん」というやつだ。


だがしかし、この時俺はただ「え?くれるの?」という感じでセリスのフォークを咥えた。


「おぉー!ホントに上手いな!」

「そうで...」


言いながらセリスが自分のフォークでタルトを食べようとした時に固まった。この時に二人とも気付いたのだ。


「「か、関節キスだこれ!!」」


そんな中学生みたいなことを思いながら二人はセリスのフォークを見ていた。


「あ、あはは、なんか恥ずかしいね」

「そ、そうだな」


セリスは意を決して顔を真っ赤にしながらもフォークを咥えた。


そしてセリスだけでなくソウタまで顔を真っ赤にした。


数分後、メイのケーキ以外の全てを食べたので夜も遅いし寝ることにした。


だが先程ののことを二人とも思い出し眠れないでいた。


「起きてるか?」

「うん」

「メイも帰って来なそうだし、今日は一緒に寝ないか?」

「えっ!?」


セリスがすごく驚いたような声をあげたのでソウタは慌てだした。


「いや、その、ほら!この前約束しただろ?」

「そう、だね」

「その、いやか?」

「嫌じゃない」

「じゃぁ、寝ようか」

「.....えっち」


俺はそう言われながらもセリスの布団の中に入り込んでセリスを抱きしめた。


セリスを抱きしめたら急に眠気に襲われたのですぐに寝てしまったソウタであった。


その事に気付いていないセリスは、襲われる事を覚悟していた。


「ソウタ、ダメだよ、私達まだ旅の途中だよ?」

「...」

「ソウタ?」

「...すぅー」

「.....」


ソウタが寝ていることにすぐ気が付いたセリスは「私だけ恥ずかしい思いしてバカみたい!」と思いながらもソウタに抱きつき、眠ることにした。

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