第15話 最強

「優しい人だな」

「うん!」


俺がそういうと、セリスは元気に答えた。


「んじゃ、一度街へ行くか」

「あ!ちょっとまって!」


セリスはそう言って走っていった。だがすぐに戻ってきた。そして手には何かを持っている。魔女の帽子みたいなものと黒のコートだ。


「それはセリスのか?」

「ううん!師匠の!」

「師匠は魔女だったのか?」

「うん!それでね、すごく強かったんだよ!でも今はもう私は師匠と同じぐらい強いんだよ!」


そう言って魔女みたいな帽子をかぶりコートを羽織る。コートは長すぎて地面に着いていたのだが、セリスの膝ぐらいの長さまで縮み、帽子もセリスの頭に合うようなサイズになった。


「その帽子とコートすごいな」

「そうでしょ?これね、師匠の自信作らしいよ!」


セリスは嬉しそうにその場で回りながら話してくれる。


「そろそろ行けるか?」

「うん!いつでも行けるよ!」

「じゃあ行くか」

「レッツゴー!」


そう言って俺は来た道を戻ろうとすると、セリスに止められた。


「どこ行くの?」

「ここを出るんだよ」

「こっちからでれるよ」


そう言って俺の腕を掴んだまま奥の部屋へと連れていかれ、魔法陣の上にセリスと立つ。すると魔法陣が光った瞬間、見覚えのある景色が見えた。


「ここは大迷宮の入口か?」

「うん!でも正確には、入口に行くための入口だね!」

「外にでるのは楽なんだな」

「そだよー。でも基本的に外に出てたのは師匠だけだから、久しぶりに外にでたよ!」

「なんで今まででなかったんだ?」

「……街がね、近いから」

「!!……そうだったな、すまん」

「別にいいよ!今はソウタがいるもん!」


そう言って腕に抱きついてくる。先程デリカシーのないことを言ったので離せと言いにくいので、そのまま街へ進み、街の目の前につく。


「入れるか?」

「うん!でも、一人にしないでね?」

「あたりまえだ」


そう言って街へ入り、ギルドを目指しながら歩いて行ると、やはりと言うべきか街の人々の俺を軽蔑の目で見ている。そして石を投げられ始めた。俺は当たっても痛くないがセリスは少し痛いのか震えている。


「痛いか?」

「ちょっと痛い」

「すまないな」

「なんでソウタが謝るの?」

「俺のせいでセリスまで石を投げられているからだ」

「ソウタは悪くないよ?悪いのはモンスターだよ」

「その原因を作ったのは俺だ」

「なら大迷宮があったのが悪い」

「ふっ、そうだな!」


二人でそう言いながら笑っていると少し大きい石がセリスに向かって飛んできた。セリスを守るため、俺は創造魔法を発動させる。


「風の鎧」


すると石はセリスに当たることなく地面に落ちた。風の鎧は、体のまわりに鎧のように風を纏わせる技だ。なので石ころや弓矢の矢などから体を守ることができる。


「ありがとね、ソウタ」

「おう」


そして石を当てられることなくギルドに着き、受付の人に聞く。


「ザックはいるか?」

「ザック様のお知り合いですか?」

「あぁ」

「ステータスの提示をお願いします」

「ほらよ」


そう言って渡すと受付の人が目を見開く。この光景も見飽きたなぁと思っていると、明らかに受付の人の様子がおかしい。


「どうかしたのか?」

「あ、あ、あ、あな、あなたは、いったい?」

「それに書いてあるだろ?」

「で、ですが!」

「いいから早くザックを呼んできてくれ」

「は、はいぃ!」


俺がそう機嫌悪そうに言うと受付の人は転がるようにザックを呼びに行った。


「変な人だったね」

「あぁ、そうだな」


そんなことを話しているとザックが来た。


「おぉー!!ソウタ君!久しぶりだな!それでそちらの方は?」

「私セリスっていうの!ソウタの奥さんです!」

「何言ってんだよバカ」


そう言ってセリスの頭にチョップをする。そして大迷宮であった事をザックに説明する。


「大迷宮は四つだけだと?そしてどれも普通ではない場所にあるのだな」

「そうなんだよ」

「君は大迷宮を攻略するのかい?」

「あぁ」

「奥さんと一緒に?」

「てめぇ、本気で言ってんならぶん殴るぞ?」

「じょ、冗談だよ!」

「私が奥さんになったらダメ?」

「あーもう!その話しはあとにしろ!」

「えへへ、ダメって言わなかった」


セリスは小声でそう喜んでいたことに、ソウタは気付かなかった。


「はぁ、なぁ頼みがあるんだがいいか?」

「なんだい?」

「また奥の部屋で寝かしてほしい」

「それは構わないが、そちらの方とそういう行為はしないでくれると助かる」

「わかった。ケンカを売ってるんだな?買ってやるよ!」

「わー!すまない!冗談だ!君の今のステータスで殴られるとシャレにならん!」

「あ?どういうことだ?」

「自分のステータスを見ていないのかい?あと、これを返すよ」


ザックは俺のステータスペーパーを渡してきた。そこに書いてあったのは、



黒輝 ソウタ 職業 勇者 Lv40


体力 96000


力 105000


魔力 110000


敏捷 85000


魔防 80000


<スキル>

限界突破Lv1〜10、覇王、ステータス減少無効化、毒、麻痺、睡眠無効化、短距離ワープ、自然治癒、幻覚無効化、威圧、希望のオーラ、岩壁、強固、創造魔法、速読、コピー、雷切Lv1〜20、鉱物鑑定、錬金術、敵探知


スキルは増えていないがなんだこのステータスは?これでまだLv40だと?


そう驚いているとセリスも俺のステータスを見たのだろう。もとから大きい目をさらに見開いている。


「俺、最強?」

「うん!」


セリスは元気に返事をし、俺とザックはこれからどうしようという顔をした。

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