第51話 神道

喉に魚の骨が刺さってなかなか抜けないときのようなもどかしさを感じている。

米粒を飲めば大丈夫とかおじいちゃんおばあちゃんは言うけど、あれって喉に余計刺さるからよくないらしいね。

「ほんとに、誰だっけな…」

「どうしたん?」

おお、櫻か。こいつならわかるかもしれないな

「実はな…」

俺は、全てのことを話し、そいつの写真を櫻に見せた。

「たしか神道かおりじゃなかったっけ?」

あぁ。今思い出した、いやな過去だよ。

「なんでこいつがストーカーなんかしてるんだろう…」

確か、親衛隊だっけ?そんなものを作っていたからわざわざそんなことをする必要はないはずなのだが。

「2つの親衛隊はなくなったよ。」

え?俺それ知らないんだけど。

「いつからだ」

「そうだね…2週間くらいはすぎてると思うけど、詳しくはわからないな」

まじか…俺としてはいいことなんてなかったからいいんだけどね。

「ありがとう、それを知れただけでも十分な収穫だよ」


放課後に尋ねてみるか


俺は1年4組へと向かった。

「神道かおりさんって、いますか」

俺はとりあえず帰ろうとしていた男子に声をかけた。

「神道さんならあそこにいるよ」

「ありがとう。助かったよ」

俺は、神道のもとへ近づいていく。

「よう…久しぶりだな」

「あんたが何の用…?」

ちょっと、間が開いたな。

「ここで、話してもいいのか?聞かれるとあんまりよろしくないと思うんだが」

俺は録画したものを見せる

「・・・・」

神道は机から立ち上がり、ついてくるように合図した。

俺たちはとりあえず、屋上へ向かった。


「それで、なんでストーカーなんてしたんだ?怖がってたぞ」

なにか理由があるはずだ。そうでなければ元親衛隊隊長がこんなことをするとは思えない。

「親衛隊がなくなったのは知ってるわね・・・?」

どこか虚空を見つめて問いかけてくる。

「そうだな、今日初めてしった」

「ふ、あんたどんだけ情報弱者なのよ」

なんでそれだけで情報弱者扱いされるんだよ。まあ事実ではあるんだけどさ…

俺は続けるようにうながした。

「親衛隊が1人に負けるなんて恥だった、そして1人にも勝てないの何が親衛隊だと、そこからは早かった。」

毎日、毎日人が減っていく。どうやら夜神月のほうも同じみたいだったけど。

そうしてとうとう、私だけになった一人で何ができるかと言ったら部活から帰宅途中の春様を見守ることだけ。だからつけていたと、全てを話した。

「そうか、正直全てを信じることはできない。だが、しっかりとそれを伝えておいたほうがいいぞ、だからこうして俺が家まで送ってるわけだし」

「そうね、言ってくるわ…」

どこかすっきりした顔で屋上から出ていった。

「もうすこし、うまくやってればこうならなかったのかな?」

今更過去のことを言ってもしょうがないし、結果が変わったとは限らない。

そうわかってはいるのに呟かずにはいられなかった。

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