第40話 体育祭3

それから、グラウンドにつくまで無言だった。

せめてもの救いは距離がたいして遠くなかったところだ。


「続きましては、男子の棒倒しです」

女子放送部員が紹介するが、何かをすするような音が聞こえてきた。

「男子がもつれあって棒を倒す…デュフデュフ。おっと失礼しました」

何か聞いてはいけないものを聞いてしまった気がするが忘れよう。何もなかった、うんなにも・・・

「あれが噂の腐女子ってやつなのかな?」

京…誰もそこには触れなかったんだからな…

「まあ、なんというか、そうだ…」

わかってる、分かってるよみんな。お前何そんな途切れ途切れなんだよってことだろ?

逆に考えてみろ、仮にも俺がここで腐女子について熱く語り始めたところを想像してほしい、どうだ?キモいだろ、そういうことだよ。だからなんとも返せないからこうなった。OK?


っと、だいぶ競技から離れた話をしたが棒倒しのほうに集中しよう

これは、2年1組と4組の戦いだ。

「4組強すぎないか・・・?」

なぜかって?サイバイ〇ンに自爆されて死んだヤム〇ャの格好をした人たちが多くいる。

「おいおい…やむちゃしやがって」

少し心配したが1人の手がぴくッと動いたので安心した。


1組側では、中谷のことかーとか言ってかつらを外し金髪になっている先輩がいる。

どの人が中谷さんなんだろう。

「おぉ、すげぇ」

その金髪さんは、単独で相手側に突っ込み守備勢をぬるぬるとかわしていく

なんだ?ニュータイプか?

あっという間に棒へとたどり着き倒してしまった。

「親友の力って偉大やな」

その後の話としては、体育科の教師へ連れていかれて滾々と怒られたようだ。

ありがとう先輩、俺強くなるよ。


「次の大玉送りに出場される方は体育館横に集合してください」

そろそろか

「京、行こうか」

「うん」

俺と京は春のところへ少し寄っていくことにした。


「お、いた。春」

「あ、栄治君、と京。どうしたの?」

「大玉に出るんで招集場にいきがてら声をかけにきたんだよ」

「ああ。なるほどね。京も一緒なの?」

「うん。」

春は、京の耳元へ行き何かをささやいてバイバーイと言ってしまった。

「京、春になんて言われたんだ?」

「いえ、特に何もないのではやくいきましょう」

これは、焦ってるな。口調がもとに戻ってる。

まあ本人たちも聞かれたくなさそうだし散策はよしておくか。


流石に、一緒にいすぎたみたいだ。

春に「近すぎ、あとあの協定おぼえてるよね?」

とお叱りを受けた。

栄治君に何か言われたか聞かれて焦ってしまい、口調が戻ってしまった。

なにかあるんじゃないかと普通の人はきいてくるだろう、だが栄治君は深くは聞いてこなかった。

やっぱり、やさしいなぁ…


私たちは、招集場へ向かって行った。



「流石に、一緒にいすぎでしょ。」

私は、あの二人に怒っていた。

いくらクラスが違って応援席が遠いっていったって、たまには来なさいよ。


あの二人がどこかへ行くようなので私はついていった。

なんと場所は保健室、私は倒れそうになった。これからどんなことされるんだろう。

だが、首を痛めた京を連れて行っただけだったみたいだ。

信じてあげられなかった自分が恥ずかしくなったが、それほど心配だった。


「流石に一緒にいすぎだから、今度の週末デートにさそおっと」

ちなみに拒否権はない。

まあ栄治君はやさしいのでよっぽどのことがない限りは断らないんだけどね。

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