ぼくのペット
「あれ?ここは・・・」
(檻の中・・・?)
なんでこんな所に私は入れられたのだろうか。
「フェネックさん」
(その声は・・・)
鉄柵の向こうでしゃがんで、笑顔を見せているのはかばんさんだ。
「なんなのさ・・・。全く何かのドッキリ?」
苦笑いして見せた。
「僕、一度やりたい夢があったんですよ」
「ゆ、夢?」
「実は、“ペット”を飼いたくて」
「え...?」
意味が解らなかった。
「えーと・・・」
「フェネックさん、今日から僕のペットになってください」
「・・・?」
それでも、よくわからなかった。
カチャッと音がし、檻の扉を開けて、かばんさんが中に入った。
「何もってるの・・・」
「怖がらないでください」
かばんさんは手に持っていた物を私の首に巻いた。
「なにこれ・・・」
「首輪です。勝手に外さないでくださいよ?」
かばんさんは嬉しそうだった。
夢がかなって嬉しいのだろうか。
「良い子ですね」
そう言って頭を撫でた。
「あのっ・・・」
「ちゃんと、お世話しますから」
そう言ってまた出て行った。
檻のカギを閉めて。
私はまた檻の中に閉じ込められた。
――――――――――
「フェネックさん、お散歩に行きましょう」
檻から出るように言われる。
「・・・・」
すると縄のような物を首輪に付けられた。
「僕の後ろを歩いてくださいね」
「はぁ・・・」
こんな所を、サーバルやアライさんが見たらどう思うだろう...。
「あっ、ダメですよ」
「えっ」
「二足歩行はダメですよ」
「じゃ、じゃあ...」
私はちょっと戸惑いながら、四つん這いになった。
「えらいえらい!」
また笑いながら、頭を撫で、首を軽く揉んだ。
(ちょ、ちょっと恥ずかしい...)
困惑しながらも、かばんさんと一緒に散歩した。
「フェネックさん」
「な、なに...」
「マーキングとかしないんですか」
「えっ、なに・・・」
「いや、いいんです。しないなら」
―――――――
散歩から帰ると、かばんさんはこんな要求した。
「僕に甘えてください。飼い主とのスキンシップは重要ですから」
心身疲労の私は、困惑した。
「えっ・・・」
「飛びかかって、舐めてください」
「・・・・」
「早く」
少し苛立ってる言い方をした。
仕方なく私は、かばんさんに飛びかかって、顔を舐めた。
「あはっ、フェネックさん、くすぐったい!」
笑顔を浮かべてそう言った。
楽しそうだ。
私は何が楽しいのかさっぱりわからない。
ただ言われるがままやってるだけだった。
かばんさんが世話をしなくなった。
徐々に痩せ細っていった。
ーーーーーーーーーーーーー
【作者より】
かばフェネ。結局〇んでしまうんですけどね。
まー、挫折理由としては他に手を出し過ぎてしまったからです。
すみません
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