一方通行恋愛

「しつこいぞ」


どうして。

どうして。


「ウグッ...」


どうして、殴られなければいけないんだ。

最愛の人に、どうして虐げられなければいけない。

自分はただ、貴女に認めてもらいたくて。

ただその身を、捧げただけなのに。


「やめ...、けらなっ...、あ゛あ゛っ゛」


どうして貴女は怒っている。


「お前はどうかしてる。なんでいつも勝負の邪魔ばかりするんだ」


「はぁ...、はぁー...」


そうか、そういうことか。


「お前鬱陶しいんだよ」


首元を掴まれ持ち上げられる。

散々何度も殴られたせいか、唇を切ったのか、血が垂れ、鉄の味が口腔で広がる。


「いでぇっ!!」


乱暴に頭の羽を引っ張られ、毟られる。


「腹立たしい」


力強い拳が、腹部にめり込んだ。


「がはっ....、はあっ...」


全ては、あいつが悪いんだ。


自分の尊敬する者を奪い取り、そして自分を陰から虐げるように仕向ける。

陰湿で、悪質で、卑劣な、サディスト野郎。


「お前なんか嫌いだ。顔を見たくねえ」


一通り殴り終わった彼女は、自分をゴミの如く投げ捨てた。


「ハァー...、ハァー...」


込み上げてくるのは、心からの憎しみ。恨み。

アイツを殺したいという殺意。


とてもきれいな星空の輝きが、自分を嘲り笑っているように見える。


もうあの人は奴に毒されてしまった。

電波を受けて洗脳されてしまったんだ。


「...殺すっ、殺してやる、殺すんだ。なんだよ...。ビビってんのか?

お前はオレを痛めつけたんだ...。オレの苦しみを味合わせてやる...」


独り言を呟いた。


自分から唯一の心の支えを奪い取り、

自分の尊敬の星を破壊した極悪人。


処刑に値する。


自分の手で殺してからこそ、価値があるんだ。


足を引き摺り、痛みに耐えながら、彼女の住処へと向かった。


「どうしたの」


彼女は何も知らないかのように、そう答えた。

自分は彼女に対し、怒りの感情しか抱かなかった。


「うるせえっ!全部お前の...、お前のせいなんだよ!

オレがこうなったのも!プロングホーン様が振り向いてくれないのも、

全部お前がいけないんだ!!死ねっ!!」


感情に身を任せ襲い掛かろうとした自分の両腕を掴んだ。


「落ち着いて!」


「てめえっ!」


「私はあの人を奪おうだなんて微塵も思ってない」


真剣な目を自分に向ける。


「嘘だ...!お前は...」


「元はあなたの友達でしょう?」


「もう...、変わったんだよ!あの人は...、プロングホーン様はっ...!」


「あの人は二股を掛けたのよ」


「えっ」






彼女は恋愛なんて無頓着だった。

ハナから、純粋に愛すだなんて、そんなこと考えたことなかったんだ。

勝手にこちらが、恋愛ゲームを始めたまでだった。


誰にでも好意的に接し、誰とでも楽しくする。それが彼女。


真相に辿り着いたとき、チーターは今までの自分を恥じらいだと言う。


「私が彼女に対し、恋愛的感情を抱くなんて言うのは、自分の過度な妄想だった。

あなたの様な純粋な気持ちではない、ただの思い込み」


「じゃ、じゃあプロングホーン様は好きじゃないのか」


「冷静に考えてみれば...、ね」


「じゃあ、なんでオレを虐めるんだ?」


「彼女は私が好きで、私は誰も好きじゃない。あなたは彼女が好き。

あの人にとって、あなたは邪魔だからじゃない。

私を愛するためには、身についている小魚を落とす。それがあなた」


「オレを遠ざけようとして...!?」


「憎むべきは、あの人」


チーターの目は真っすぐ自分を見ていた。


ーーーーーーーーーーーーーー

【作者より】

飽きました。プロングホーン,,,、〇んだな。

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