裏ハンター
「また、こうしてお前と一戦を交えることになるとは、思ってませんでしたよ」
「マンガばっか描いてて腕が鈍ってないか心配だよ」
「助手...、タイリク...」
二人と共に戦うのは実に久しぶりの事だ。
「感傷に浸っている暇はありませんよ」
「リカオン達を助け出さないと」
「ああ...」
彼女達を助けるべく、セルリアンに向かった。
通称、“裏ハンター”
それがチーム名だった。
*
今のリカオンやキンシコウと出会う前。
好戦的だった自分はよくセルリアン退治に翻弄していた。
誰からの命令でもない。趣味みたいなものだった。大型を潰せた時の快感はとてつもない物。それに、味をしめた。
セルリアン退治に打ち込む日々。
ある日、突然私は彼女と出会った。
「...こんな森の中で殺気立って、何者ですか?」
木の枝の上から、見下すように尋ねた。
茶色い姿だけは確認出来た。
顔を見上げ、答えた。
「ヒグマだ...。アンタは?」
「ワシミミズク」
頭の羽を大きく羽ばたかせながら降りてきた。
「ここで何をしてるのですか」
「セルリアンを探してる」
「なるほど」
腕を組んで答える。高圧的な態度が気に食わなかった。
「強いのですか」
「当たり前だ。君に言われたくない」
見た限り彼女は小柄だ。強そうには見えない。
「ふぅん...。他人を見掛けで判断するのは良くないですよ」
「...ふん」
彼女の事は無視して、セルリアン探しを続行した。
が、後ろに気配を感じる。
咄嗟に振り向き武器を構えた。
彼女もまた、武器を構えていた。
「音もなく近寄るとはな」
「この気配に気付くとは流石です」
お互いに離れた。
この時、私は自分の好敵手になるかもしれないと悟った。
「しかし、見るからにこみゅにけーしょんが苦手そうですね」
「なに?」
「他者との疎通です」
彼女は頭も良かった。
「そんなもの知らん。邪魔をするな」
「そうですか」
私は彼女の言う通り、言葉で何かを示すことが苦手だったのかもしれない。
力を闇雲に未知の生物にぶつける。
そんなことをしてきたからだろうか。
まだあの時は、そこまで考えていない。
「...何時までついてくるんだ」
「お前の実力を見たいのです」
偉そうな口の利き方をする奴だ。
正直いって、ムカついた。
「それが物を頼む態度か」
「明らかにお前と私では、知能指数が
違いすぎるのですよ。私は賢いですが、お前はどちらかと言えば、身体だけ丈夫で頭が弱いのです。賢い私が偉そうな態度を取って悪いことはないと」
「...ッチ、お前、そうやって馬鹿にするなら、殺すからな」
武器の矛先を彼女に向けた。
「...」
彼女は黙った。
そして私は再びセルリアンを探すのだった。
だが、彼女は相変わらず、私の後を付いてきた。撒いてもよかったが、また追いつかれるのがオチだ。諦めることにした。
(...!)
突如、風が森の中を吹き抜けた。
この感覚は、ヤツが来る時の感覚だ。
「お前、見たいって言ったな」
「ええ」
「その目にしっかりと焼き付けておけ」
「じゃあ、木の上で見てますよ」
彼女はサッと木の上に移った。
森の奥をじっと注視する。
紫色の巨体が蠢いている。
今まで見た中で1番巨大かもしれない。
胸が高鳴る。
地面に落ちていた石を拾い上げ、目の前の木にぶつけた。
トンッ
ここから先は、生きるか死ぬかの世界だ。
このボーダーラインを歩くのが、とても
自分らしく、そして快感だ。
いつも通りに倒せばいい。
だが、目の前に現れたのは、いつも見るセルリアンとは違った。
巨大な身体が2つに分離している。
稀に見る奇行種だ。
普段こう言うヤツとはあまり戦わない。
ただ、彼女のいる手前、逃げる訳にはいかない。
石をぶっ壊せばいいだけだが、地上からでは多少見にくい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【作者より】
飽きました。( ˙-˙ )
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