Works:209~冬空の街~

とある土曜の午後

信号待ちの交差点


アスファルトを流れる車の群れを

射抜くように見つめる少女がいる


肩幅に足を広げ

ボブの黒髪を風に揺らしている


その視線の強さに惹かれ

或いは気圧され


彼女の見る先に目をやる

そこには少女と同じ制服に身を包む少年


よくよく見れば少女の手には紙袋が一つ

少女の視線に混じる緊の色の意味を理解し


思わず微笑みながら青になった道路を渡る

信号が変わっても動かない少女を視界に入れつつ


頑張れよ等と思いながら

鞄に忍ばせた指輪の箱を叩く


やれやれ

今度は僕が少女に続く番か


そんな事を考えていると

彼女の待つ喫茶店が見えてきた

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