Works:205~ある夏の日の追憶~

蝉時雨のうるささにうんざりしつつ

縁側を見る


寝苦しそうに眉をひそめ

君が横になっている


空に目をやると

青一色の景色が広がる


そうして暫く空を眺めていると

君が起きる気配がした


おはよう

気だるさの残る声で君が言う


もう昼だけどね

心の中でそう呟きながらおはようと返す


空の色を写したような

青の長髪を流しながら


君は大きな欠伸をひとつ

視線に気付いたのか怪訝な顔をして


寝癖ついてるかな?

と慌てるのを見て


いつかの夏もこんなやり取りしたっけ

そんなことを思う


お昼ご飯ができたと告げる親の声

後で食べると返事をし振り返る


縁側には麦わら帽子がポツンとある

夏陽炎の季節か


そんなことを思いつつ

君の眠る公園へと足を向けた


今年の夏も暑い

そう呟きながら麦わら帽子を手に取った


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