少年期[452]来世はまともに
「はぁーー……見るからにザ・屑豚貴族って感じだな」
木の上から馬車で移動する人物を見て、ゼルートは呆れるようにため息をついていた。
宴会が終わり、数日後にギルド職員から一通の手紙を受け取ったゼルートは即座に宿から出て手紙に書かれてある位置に向かう。
「私達は行かなくて大丈夫なの?」
「そうだぞ!! ボコるなら人は多い方が良い」
「いや、最初から全員ぶっ殺すから向かうのは俺一人で十分だ」
従魔のゲイル達も連れて行かずにゼルートは街から出て普段はあまり使われない道へと全力で走る。
「バレそうだからって速攻で街から逃げるとか、アホじゃないかと思うがどちらにしろ今の生活からは失墜するんだろうかどう動いても変わらないか」
裕福な生活を送っていたために急激な生活の変化に耐えきれず発狂するか、それとも罪の重さ的に牢屋にぶち込まれるか。
それともゼルートに殺されるかの三択なので、贅沢三昧を送っていた貴族にはどれも似たようなもの。
「馬車を引いている馬が例え魔物であっても、俺の速度で追いつけない筈は無い」
既に疾風迅雷を使用しているゼルートの速さに、途中ですれ違う魔物達は何が通ったのかすら分からない。
そんな速さで移動すること十数分、ようやく標的の感知に成功。
疾風迅雷を解除し、足音や魔力の気配を消しながら近づく。
そしてようやく見つけた今回の標的を捉えたゼルートは予想通りの貴族だったので、問題無く殺意が沸いた。
(さっさと殺すか)
「ちょっと止まろうか皆さん」
突然目の前に現れた一人の少年。ダンジョンで生息する魔物の大群を地上に出現させてしまった原因の貴族を引く馬車と、護衛の馬車が一斉に足を止める。
自分達が犯罪に加担しているという自覚がある護衛の騎士達は即座に馬から降りて問答無用でゼルートを殺しに掛かる。
「うん、一切止まらず躊躇なく俺を殺そうとするのは良い判断だな。でも、無意味だ」
死にはしない。それでも体中に激痛が走る電撃を浴びた護衛の騎士やその他者達は皆動けなくなる。
そして外で何が起きているのかと不安になった屑豚貴族は不用意に外に出てしまい、ゼルートの雷撃を浴びて呆気なく捕まってしまう。
「どうもどうも、あんたが引き起こした事件で悪獣を討ったゼルートだ。以後お見知りおきを、つってもあんたは直ぐに死ぬんだけどな」
「ッ!……かッ……」
「あぁ、無理に喋らなくて良いから、というか喋んないでくれ。あんたの臭い息で空気が汚れるから」
毒舌全開のゼルートの言葉に屑豚貴族は顔を真っ赤にしてもう一度怒鳴ろうとするが、全く声が出せない。
屑豚貴族だけは未だにゼルートに対して敵意の目を向けているが、その他の騎士達の前には絶望のみが浮かんでいる。
こんなバカ貴族に最後まで従わずに逃げておけば良かったと後悔する者もいる。
見た目はまだ成人すらしていない子供。しかし騎士達は一対一、一対多数で戦ったとしても勝てるイメージが全く湧かない。
「とりあえず、あんたが今まで稼いできた物は俺が有効活用するから安心して死んでくれ」
ふざける!!!! そう全力で叫びたい屑豚貴族だが、やはり声を出すことが出来ない。
本当に危機的状況だというのにも関わらずゼルートへの敵意や殺意が消えない。
しかし、ゼルートがアイテムバッグから取り出した物を見て屑豚貴族だけでは無く、他の者達まで顔が真っ青になった。
「冥途の土産に教えてやるよ。こいつは錬金獣。俺が造ったまぁ……簡単に言えば兵隊だ」
兵隊、その一言で済むような見た目では無い姿に屑豚貴族達は口をパクパクと動かすことしか出来ない。
「まっ、あれだ。来世があるな今度はまともに生きろよ」
その一言を最後に、屑豚貴族達の視界が二度と変わることが無い黒になり、懺悔する時間も無くその命は消えた。
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