第27話 怪盗が来る―5
半券を持っていれば再入場はできるらしい。
午後13時に怪盗が来る。あと10分。
会場には少し人が増えてる、これも怪盗効果だろう。
「よお、どうだったケーキは?」
「はい!美味しかったです!」
シャロは満面の笑みでまるで犬だな。
「そっちはどうだった?」
「一人寂しくなかった」
瑠奈は普通の疑問なんだが、黒子の場合はバカにしてるな。
とにかくに合流はできた。
30分前に黄金の牙は展示される。
「さて、怪盗が盗みに来る物がこれだが」
「スゴイ物なんでしょうか?」
「でも価値あるからここにあるんでしょ?」
「価値とは人が決めるもので共有するものではないわ」
俺たちは怪盗が盗みに来るモノを見ているがハッキリ言って俺は盗む気がしない。
黒子が言った言葉『価値とは人が決めるもので共有するものではないわ』、確かに俺に価値はこんな物ではないな。
「おお、こんなに来ているのか」
人の波をかき分け現れたのはこの展示物の持ち主。
大きな図体で大きな声で偉そうだな。と、同時に会場の電気が消えてただ一つ、スポットライトのように照らされる所有者。
「さあ、皆さん。この黄金の牙は黄金の頭蓋骨に牙が宝石でできた、世界でも珍しい世界で一つの宝物なんです」
黄金の牙の説明にまばらな拍手を浴びる。
それもそうだ、ここにいる人たちの目当てはあんたの宝物が盗まれる事なんだから。
「紹介が遅れました、わたくしの名前は
大声で笑いだしすごいご機嫌がいい。
それにしてもいつまでこのおじさんの演説に付き合わないといけないんだ。
「今回展示された黄金の牙は後日わたくしのコレクションと一緒に展示します。その際はここの展示物よりすごい宝物を拝見できるでしょう」
カラッン
何か落とした音が聞こえた。
「うっ」
大越はうめき声をあげながら倒れこむ。
一瞬何がおきたか分からなかった。すぐさま新井が駆け寄る。
新井の他に警備員も駆け寄りこの状態が異常だと理解した。
「盗まれたのは、黄金でも
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