だれのためでもない救済の季節
柳なつき
はる
はるのなかには さくらがあって
はるのそとには こおりがあります
こごるあなたを あたためるために
しずむきもちを なぐさめるために
はるよこい、とひとはいうけど。
はるは、
あなたのためにくるのではない
はるは、ただそこに あるのです
それでもはるは
あたため
なぐさめ
さくらをさかせる
そんな春が優しくない、などと
いったい、だれに言わせましょうかね。
はるよこい、
はるよこい、
こごったあなたも
しずんだきもちも
せつないわたしも
咲かせておくれ、
どうしようもないこと
すべてをさくらにしてしまえ、
一面のさくらばたけにしてしまえ。
はるよこい。
はるよこい。
春はだれのためでもなく。
だからわたしのためにあるから。
はるよ。
こい。
だれのためでもない救済の季節 柳なつき @natsuki0710
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます