第13話 染目木 2


度胸付けたら希望も増えると、その希望と、目的と、やりがいに、生き甲斐に。

消化しつつ身に付けて。

栄養と教養のバランスUPで、世の中も良く見えたら、お披露、お披露目、披露宴。


あれは、確か、千日程前に、ブラブラと家族で市へ出向き、

色絵南蛮人文椀イロエナンバンジンモンワン」 と、戸棚奥の古伊万里に目が行きまして。


江戸期の器で客人を持て成すのも、気が利くと。

道楽者と目利きか洒落者。


そんな高価なウツワはご無理か。

さっさかさっさ。


もっぱら安物。


大箱入りの染め付け皿。

骨董店主も売りたいが


「売りもんじゃぁ無いもんで。」


「余程の品だ」


と大老が。


「煉瓦にします」


と、横ちょの客から。


「金継ぎぃ」


無駄にはならないよ。


…お-ばぁばぁ様ぁあ、


サン

は産婆か物産か。


算数酸で、「売り切れご免」と、頭を下げて大徳利。


コブが柔らかくなるからと、

古古古古結構、小商い。


「しわんぼうかい?」


それじゃぁ、働いている父さんに、申し訳無いだろう。

お見立てするから、うちで服を買っとくれ。


考古学者は、高舌とキュイジ-ヌを召し上がり。


新心シンシン古心コシンの中心はゲン


おじじ様は、年寄りの向上心と講座へ出向きましてね。


「どこぞの門人でありますか?」


「一文にもなりゃしねぇ。」


それでも学が止まらないなりゃ、うちの離れを貸しますよ。




産って、

物産、お産、不動産。


「フランスへね。」


何を気取った事を、おっしゃって。

フランス人形大レース。


「青菜の浅漬けフレンチじゃぁ、酒の肴になりゃしねぇ。」



酢。

すっスッす。


「・・・・・・酢でねぇ、、、、

酢でぇ〆ときゃぁ日持ちする

と言って、口を酸っぱくして話しているんですがねぇ。」


「とっといたら?少しは。」


「使わなきゃならねぇもんって、沢山あんだろうがぁ、覚えてる物なんていくつあんだぁ?」


さすがに、自分の名前は忘れねぇだろうが、使っていなきゃ、残らず。


世の中にあるもんで、元の名前を知らずにね、解りやすそぉに、まぁ、呼び名を付けるでしょう。

略しちゃってね。

それが、浸透して、今の姿で残ってる。



カラクラ、からくら。小鳥が鳴いて、

始終シジュウ鳴くから四十雀シジュウカラ


お袋さんが台所へおかずを運びに参ります。


「どこへ行くのかぁ、ドッコイショ。

女房に味噌汁をよそって貰い、お節介かい?」


「本来、杓子シャクシなんですよってぇ」おかしくねぇかい?


下手すると、関係ないのにそのネーミング。

歴史の教科書に載っていればぁ安心だろうが、この先、生きていくんだから、自分の作った物に名前を付けておくんなさい。


「良子と申します。」


「いえいえ、これは豚汁ですか?」


「郷土料理でございまして、鮭と根菜を合わせた粕汁でございます。」


登場回数が多ければ人気者?

記憶させる為に、売ってんなら、公式を歌にしてみたらぁ?

商売も上手くいきますかって。


♪一本でも人参っ♪って、

子供達が歌ってらぁ。


憶えてくんなきゃ、困るんだよぉ。


人参は、人参。仲間はせり。


略すのが増えてきているのは、なんと言うかぁ、反逆者が攻撃的になってるんじゃぁないかって。

未来から形まで変わったら、もう、別物。

漬け込んで、漬け込み過ぎたら、新しくなるなんて無いだろう。

反応が応用になって発見。


「アミノ酸の増殖で新種とも考えられましたが、検査の結果『フーゼル油』である事が判明致しました。


「フーゼル油って?」


「アルコールが発酵する事で毒ができるんですよ。」


「いつ毒に変化するのかが・・・

解りませんからね。」


・・・そのパターンだとぉ。

・・・捨てられないよねぇ。


名前を付けたもんだから、余計に愛着湧いちゃってねぇ。

憶えられなきゃ駄目なわけよ。だから。


後を継いでいくのはいいが、本来のレシピのさ・し・す・せ・そ。


店終いでお袋さん、壺を置いてお引越し。


「新しい店長さんですか?

あなたの度胸は、新メニューの試作品で評価されるのですよっ!」


「いやぁ、俺、憶えられねぇって、言ってんだけどねぇ。

憶えられねぇんだよ。」


「それはさぁ、スーパーコンピューターじゃぁ無いしね。自分の栄養にしているものが、何に反応しているのか、ちょっと考えた方が良いわけよ。」


記憶装置じゃぁありません。


じゃないと、スーパーコンピューターに、惑わされて、長期熟成が、すぐさま結果の判るリトマス試験紙にって。

己がビネガーって、漬け込まれちゃうわけ。


漬け込んどいたら、ミリオンヒットかい?


いつまで漬けとく気なんだって。


「蓋を開けたら、化石になってんじゃねぇかぁ。」


そこで、良いのか悪いのか。


善し悪しは、早足だったらランナーズ。


「早くったって一つじゃ古いに数で負けちまってるね。」


古式良識って、小才利かして動いてんのに。


「大根、持ってけっ」


て、担がされたらよぉ、

重くて動けねぇと。


「早く食べろって」


去年の酢漬けをつまみにしてね。


払いはすぐに現金でって。 


「なんだぁ、古いとぉ、損じゃねぇかぁ。」


いや、いや、いや、いや、位置をちょちょいと考えればね。


立場、立ち位置ランキング。


「まだ、黄口をつついてるのならば、タンスの一つでも持って行きやがれ。」


食い道楽に着道楽。

好好爺は、常に上位にランキング。

流行の古い古道具に、ええっとぉ

古着、中古の古家電。

巡り巡って良い味出して。


考古学者が骨を買いって、

エジプト人が、サメの抜歯を集めましてね。

ネックレスだと、飾ってらぁ。


あまりにも数が多いとね。


「他とは、比べもんになんねぇ位の良い品々だ。」


って 、スカイツリーの天辺にあるって言われたら、皆登って行くのかい?


こりゃぁ、高見の見物と、おのぼりさんが、喜ぶだろう。


最近じゃぁ、好好爺がクライミングで

残った比べられない物っつ-のは、一体、誰が買うんだい?


「世の中に、真ん丸の子豚が増えてりゃ、偏ってくるんじゃねぇーのか。」


地盤が縮んで、財布の紐は、堅いって。


「そういやぁ、子豚が集めてたなぁ。

図鑑をねぇ、図鑑を作った子豚がいるって。」


ランキング外。ランク入り出来ないって、戦力外扱いされるっつーのは、体力的な問題なぁ、わけ? 


「豚の暴走を、誰も止めないからだろう!」


「奴は、転がらねぇからなぁ。

まんまぁるに肥えてたってぇ。 

随分と丈夫なもんだよ。」


「ばぁちゃんの握り飯に、たっぷり昆布が入ってたってよぉ。」


「やっぱり古いと損じゃぁねぇかぁ。」



「・・・・ 口喧嘩するのも、タダじゃねぇ。」


文句言うのも言われるのも、お金を払っておくんなさいよ。


「ゲンカって、原価幾らなんですか?」


「お話するのもしないのも、

そりゃぁ、ご自由でしょうが、あ-だこ-だと考えますのも結構頭を使いますんでね。

ご飯をお召しになりながら、ディナーショーやら、高座やら、形を作るじゃないですか。」


スタイル作りにお金を払って、肝心かなめのメインディッシュは、頭を落とされた切り身のムニエル。


頭の中を、聞きてぇっつんなら、もぉちょっと、お客さん、

頭も大事にして下さいよ。

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