第36話 36 勉強会





 1月5日。ろくに、お屠蘇気分が抜けないまま、三学期が始まった。


 今日は、始業式だけなんだ。だから遊びに行っちゃいたいけど、明日実力テストあるから勉強しないと。


 でも困った事が1つだけある。いつもなら、拓人さんと一緒に勉強するんだけど、生憎予定が合わないのだ。


図書館に行こうかな。とか考んがえていたら夏音かのんに声をかけられた。


「夕陽、今日一緒に勉強しない?」


「いいけど。なんで?」


「林原さん居ないし、家じゃ雫さんにちょっかい出されて、落ち着いて勉強出来ないってボヤいてでしょ。だから」


 と夏音が言う。もしかして、二学期の期末前の事を言ってるのかな?まぁいいか。夏音と一緒ならはかどるし。


 


ーーー


放課後。学校からそのまま夏音と一緒に帰ってきたら、意外な人物がいた。


「あれ、ひなちゃんなんでおるん?(いるの?)」


「仁に、夕陽の勉強見てやって頼まれたんよね。あのバカ女が、夕陽の邪魔したらいけんけぇ」


「バカ女って雫ちゃんの事?」


「ほうよ。他に誰がおるんね(いるのよ)」


 相変わらず、ひなちゃん雫ちゃんの事きらいみたいだな。ていうか、雫ちゃんがひなちゃんを身長の事でからかうからなんだけど。


「ねぇ、それより夕陽、この可愛い娘はお友達?」


と、ひなちゃんが訊いてきた。


「うん、友達の高宮夏音さん」


「あっそう。夏音ちゃん、はじめまして、服部ひなといいます。夕陽とは、はとこになります」


「噂は、夕陽から聞いてます。服部さん。仁さんの婚約者さんですよね」


「なんじゃ、知っとるんじゃ。ああ、服部さんじゃのうて、下の名前で呼んでや」


「わかりました。ひなさん」


「ほいじゃ、勉強会といこかね」


 とかくして、勉強会がはじまったのだった。


 とは言え、ひなちゃん自身もテストがあるみたいで、ひなちゃんも一緒に勉強しつつ、合間に俺や夏音の質問に答えてくれるという形での勉強会となったのだった。




 テスト勉強を始めて二時間過ぎた頃、集中力も切れてきたので、一休みしてる所だ。


「それにしても、ひなさん凄いですね。数学の問題集解いてる傍らで、英語を教えてくれるんだもの」


「ほお?大した事じゃありゃせんのじゃけど(大した事じゃないけど)」


 と言って紅茶を飲むひなちゃん。やっぱりひなちゃんは、天才だ。普通はそんな事できないんだってば。自分の勉強しながら、他人を教える事じたい難しいのに。数学の問題解きながら、夏音の質問に答えてたもんな。天才というか超人の領域だよ。と思った俺だった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る