最初は、かなり勢いのある会話劇として読み始めました。
チョコ、妹、ツンデレ、一人芝居、帰宅部エリート。
どこまで本気で、どこまでふざけているのか分からない独特のテンポに、思わず笑いながら読み進めてしまいます。
けれど、その軽さがあるからこそ、読み終えたあとに残る感触がとても印象的でした。
甘いはずのチョコレート。
賑やかなはずの下校時間。
くだらなくて楽しいはずの会話。
その一つ一つが、読後にもう一度違う色で見えてくる構成が見事です。
特に印象的だったのは、タイトルの言葉がただの奇抜なギャグでは終わらないところです。
読み終えたあとにもう一度タイトルを見ると、笑っていたはずの言葉の奥に、苦さや寂しさがにじんでくるようでした。
コメディとして読ませながら、最後に静かに余韻を残してくる短編。
短い中に、甘さと可笑しさと、後からくる苦みが詰まった作品でした。
このお話はとてもスピード感のある読み口で、話を何度もひっくりかえしてくるのが特徴的でした。起承転結で言えば起転転転と言った感じでしょうか。
また、たぶんなのですが、作者さんがかなり意図的に、話の段階ごとに台詞と地の文の割合を変化させていたのも面白い部分だと思います。
特に台詞が多めとなっている序盤から中盤にかけてのやり取りはテンポがよく、力を入れて書いたのだろうなと感じました。
物語に仕掛けられたギミックとしては、驚きを優先したためか読者へのヒントが少なく感じられたので、次に似たような形態のお話を書かれるときは、読者への挑戦状のような形式にも期待したいです。