人でなし西萩の夢小説、の後始末
「そういえばキープしてた女の子と最近連絡が取れないんだよね」
「は?」
唐突に切り出された話題に船江は若干のいらだちを込めて西萩を見た。そんな船江を気にもとめず、西萩は話を続ける。
「高校の頃に付き合った子でね、ずーっと未読メッセージ溜めてたんだけど、つい最近になってLINEにメッセージが来なくなったんだよね。一応ブロックせずにキープしてたんだけど」
「キープ……」
船江はあきれきった顔でぼんやりと繰り返す。西萩は悪戯っぽい顔をした。
「あ、船江、キープって知らない? 童貞だもんね、ごめんごめん」
「誰が童貞だ。……お前キープできるほどモテるのか」
「まあね、たまに合コンにも行ってるし、常に三人はキープしてるよ」
「ほーん」
興味なさそうな声を出し、船江はモニターへと目を戻す。それから沈黙が数分。船江は唐突にぽつりと尋ねた。
「そのうち結婚とかしたりするのか」
「まさか。そんなことするわけないじゃん。めんどくさーい」
西萩は両手を軽く上げてひらひらと振る。こいつはこういう奴だった。聞いた俺が馬鹿だった。船江がそうやって自己嫌悪していると、西萩は急に真剣な声で言った。
「それに」
組んだ両手の上に顎を乗せながら、西萩は船江を見る。
「本命は他にいるからね」
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