第21話Regrets - 未練

21.



"It serves him right.自業自得 6"



== 眞奈の従妹・加奈 + 樋口瑛士 + 松本眞奈 ==




 「あっ、私・・お義兄さんを泣かすつもりじゃなくっ・・て

ごめんなさい。もう失礼しますね、さよなら」



 元義従妹はとつぜんの俺の涙におののき、そそくさと席を立ったかと

思うと急いで店を出て行ってしまった。


 その場に取り残され泣いてたアラフォーのオッサンは、ちょーーっ惨め

全開だっつう~のっ!


 元妻に俺の女遊びが知られていたのだとしたら、まっ当然の報いだなっ

これくらい!


 その夜気になったのは元妻の今現在の想いオトコのことだった。

 だっ、誰なんだそいつ!!




・・・



  私には夫と別れたことを一番に伝えたい人がいた。

  蓮さんだ。いつの間にか心の支えでもあり好きになっていた人に。


 私は気がつくと言葉で伝えるだけではなくて、身体ごと蓮さんの

それこそ胸に飛び込んで行った。


 ・・と言ってもそれは気持ちの上でのことで、手を繋ぐでなし

スキンシップを伴なったわけではない。


 夫と別れた次の日から私は以前にも増して蓮さんの住むお寺へと足繁く

通うようになっていった。


 春夏秋冬。お寺の境内にセミの声が煩く聞こえる盛夏のある日

室内で脚立に立ち、私の背丈よりも遥かに高い場所に収納されていると

いう台所用品を取る為探していた所に帰宅した蓮さんが通り掛かった。


 台所用品は蓮さんがたまたま留守だったので住職の奥さんに頼まれての

ことだった。


 気が付いて私はお帰りなさいと振りむいた・・と同時にバランスを

崩し、気がつくと私は脚立から落下していた。落ちる瞬間から床に

落ちるまでが、まるでスローモーションで見るかのようにその自分の

落下する様子が手に取るように私には見えた。そんな様子をすごいっと

感心しながら落ちていく私の元に・・蓮さんが急ぎ足で私を救出しにきて

私は蓮さんの胸の辺りに落ち、ふたり諸共もろとも床に重なるようにして

転がってしまった。



 気がつくと私は蓮さんの身体の上にいた。


 ごめんなさいと言い、蓮さんの上からどこうとしたところ、蓮さんに強く

引っ張られ口づけされた。


 なんか、頭の中がジンジンするようなキスだった。


 嬉しすぎて恥ずかし過ぎた。赤面している私を見て蓮さんが可愛いなって言った。

 そしてぎゅっと抱きしめられた。


 もうだめだっ・・幸せ過ぎて、ダメダメ過ぎるわぁ~などと、私は心の中で騒いだ。


 


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