第16話Regrets - 未練

16.


"It serves him right.自業自得 1"



== 樋口眞奈 + 樋口瑛士 ==




何も知らずやさしい夫との幸せな自分に酔い続けていたなら

ずっと身体を重ねない夫を死ぬまで恋慕っていたのかもしれない。


 どちらが幸せだったというのだろうか!


 きっとどちらも幸せじゃないと思う。簡単に結論が出た。





「とにかくまぁ、あなたのことは嫌いじゃないけど他にもっと好きな

男性ひとができたから仕様がないの」



 今私が話してることは、何時から始まったかしらないけれど、これまで

あなたが私にしてきた仕打ちじゃないの? なのに何拒否ってるの?


 愛の無い妻などに未練は無いはず、別れると言いなさいよ!




「1か月くれないか?1か月経っても君の気持ちが変わらないのなら

仕方がない。君の言う通りにするから」




「1か月? 分かったわ1か月ね」






 -いきなりの妻からの離婚発言に武士は驚いた。-



 晴天の霹靂という言葉をわが身に降りかかることで使う日が

来ようとは、夢にも思わなかった。休日はいつも家で俺と過ごしてた

妻が約2か月程前からちょくちょく外出するようになったのだが

相手がよもや男だなんて思いもせず、俺は気分転換になればと気持ちよく

眞奈を送り出してきたのに。


 そんな考えを脳内が勝手にはじき出していて、思わず自分で・・男?と

自分に聞き返してしまった。いや、そうだろ好きな相手ができたと言ってる

んだから、男と会ってたに違いないはずだぜ。



 ざわつく心を落ち着けて兎にも角にも俺は眞奈の身辺調査を始める

ことにした。


 しかし、考えたようなものは何も出でこなかった。しかも調査結果を

見る限り、妻の言うところの好きだという人物はどこにもいないのだ。


 狐につままれたような気分だった。だが約束は約束だ。結局1か月

経っても妻の気持ちが揺らぐことはなかった為、俺たちの離婚は成立した。



 

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