第22話

 2人で家に帰って、兄さんに事情を説明した。

「大変だったね。一緒にいられなくてごめんね」

 心配の声は、うちだけを見て言われた。

 兄さんもまだ、よそ者のエグナーを思いやる気にはなれないのかな。家族のうちへの心配が勝って、エグナーまで気が回らないだけ?

「平気だよ。兄さんのことは直接は言っていないけど、バレちゃってるかも」

 薪についても言及したから、推定はできちゃいそう。

「構わないよ。ラヤにだけ背負わせたくはない」

 こう言ってくれる存在がいるのはありがたい。もし兄さんもエグナーを一切否定したら、うちはこの島で1人孤立したかのような思いになってたかも。

「2人ともごめん。こんな事態になっちゃって」

 向けられ続けた敵意はさすがにこたえたのか、エグナーは帰路もずっと沈んだ様子だった。

「エグナーは悪くないよ。むしろ、すばらしいことをしたと思う」

 面識のない島の人を救おうとした。行動は決して責められるものではないのに。今回のことが原因で、他人を救うのに迷いが出るエグナーにならないでほしい。

「徴収までの間は、行動は慎んだほうがいいよ。拘束はされたくないだろう?」

「もうバレたんだから、隠れて動かなくていいんだよな?」

 迷うように動く視線のまま、言葉が発せられる。

「もっと様々な場所を見て回りたい。多くの人に話を聞きたい」

「怪しまれるだけにならないかい?」

「様々なものにふれたほうが記憶も戻りやすそうじゃん?」

 耳に届いたのは、意外な言葉だった。

「諦めたんじゃなかったの?」

 突き出されることを容認したから、目的を諦めたのかと思った。

「諦める気はないよ」

「なら、どうしてあんなことを言ったの?」

 突き出されることを認める言葉。諦める気がないなら、目的が達成できるまでそんなことを言わないよね?

「ああでも言わないと、ラヤまで風当たりが悪くなりそうだったじゃん」

「そこまでだったのかい?」

 兄さんの心配の声を前に、肯定も否定もできなかった。あの状況を、自分でもどう思っていいのか整理できない。

「徴収までは猶予がある。それまでにできればいいだけさ」

 言葉はとても軽いのに、なぜか強い思いを感じられた。

「次の徴収予定日は、7日後だよ」

 告げられた猶予。

「それまでには、必ず」

 なにをしたいのかも思い出せていないのに、貫き通される。

 まっすぐとした言葉は、言霊に変わってくれるのかな。

 エグナーがこの島で残された時間は、7日しかない。

 どんな結果を残せても、7日後には徴収者に突き出される運命。

 わかっているのに、考えを曲げないでいられるなんて強いな。

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