サル
20代後半 兄達2人の舎弟
長身でパンチパーマ結構いかつい体
顔が猿に似ているので兄達が付けたあだ名だ
主に覚醒剤などの薬を手に入れて来る役目
チョット短気ですが……
長男と次男の仲の取りまとめ役も良くしてくれてました
一度シンナーを高校生に売った事があり父に破門された事がありますが出戻って来ました
このサル君についてはちょっとした事件がありました
私がアルバイトで家の手伝いをしていた事があり
私とサル君が一緒にお祭りの準備で隣り町の神社で店を組み立てていた時の事です
店に男2人が尋ねて来て……サル君は私に店番を頼むと男達と神社の裏の方へ行きました
ほんの2~3分位たった時だったと思いますが……
数台のパトカーと7~8人の警官と私服の刑事達が神社の中に駆け込んで来ました
私……野次馬根性
「何があったんだろう?」
ドキドキワクワク
しばらくすると警官に手錠を掛けられ男達が現れました
良く見ると……
サル君とあの尋ねて来た男達だ
サル君は警官に両脇を抱えられ私の前を通り過ぎて行きました
真っ直ぐ前を見つめ私の方を見る事もなくおとなしくパトカーに乗り込んで行きました
まさか……身内の者だったなんて
私は慌てて家に電話を掛けに行こうとすると一人の刑事が私の所に来て
「知り合いだな?」
私は
「はい 家の使用人です」
と 答えると刑事は
「本当かぁ 奴のコレなんじゃないのか!」
と 私の目の前に毛深くて短い小指を立てました
お前見る目ない……
絶対出世しないな……
刑事の話しによると
サル君は神社の裏で覚醒剤の売買をしていたのですが
何処からかその情報がもれてしまい尋ねて来た男達を張っていた所相手がサル君だった…
と言う訳です
ってゆーか 私がたまたま手伝ってる日にやるなよ!
私は家に連絡をしたいと刑事に言ったのですが
「署の方から連絡する」
の一点張りで電話をさせてくれずパトカーに乗せられてしまいました
手錠はされませんでしたが……ちょっと掛けてみてもらいたかったなぁ
あっ
嘘です!
警察署に着くとまず刑事課に連れて行かれ
身分証明と事情聴取をされ同じ質問をかなりしつこくされました
そして別の場所に連れて行かれ両手10本の指の指紋をとられ
その後婦警さんにトイレに連れて行かれ検尿もされました
私はもちろん薬などやっていませんので不安になる事もなく
なかなか体験の出来ない事柄に内心ワクワク
2時間位すると父と母が来てくれてやっと会う事が出来ました
父が事情を説明しサル君が本当に我が家の舎弟だとわかり私は晴れて釈放され一足先に母と帰りました
父は残って事情聴取されてました
私は父も捕まるのかなぁ……と内心楽しみにもしていましたが
その場に居た訳でもなく直接的な関係もないので細かい所まで取り調べる事が出来ないらしく……すぐに帰って来ました
(私の祈りはいつ神様に届くのかしら……)
この後サル君はもちろん刑務所に送られ……
他人に覚醒剤を売った事で我が家からも本当に永久に破門となりました
私はあの時サル君が手錠を掛けられ私の方を見る事もなくシカトして通り過ぎて行ったのは
私を巻き込んではいけないと。彼なりの気配り……そして優しさ……だと思っています
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます