第38話 女官たち

 中国のような国の後宮に勤める女官のひとり。彼女はそこで様々なことを学んでいた。噂で他国が攻めてくる日が近いと聞き、女官たちは立ち上がる。私たちが動かないでどうする。

 

 映像が途切れ、ひとしくんと名札がついているおじさんキャスターが言った。

『では彼女たちはどうしたのでしょうか。世界・ふしぎ・発見!』


 他国の兵隊が土足で宮殿を汚していくのを歯噛みしつつ、女官たちは降伏する。しかし兵隊が油断したところで次々に暗殺していく。お前らの好きにはさせない。

 が、ひとりの女官が捕まった。隠し持っていたナイフが見つかったのだ。とたんに兵隊は女官たちを撃ち殺し始めた。全滅は目に見えていた。絶体絶命。


 また映像が途切れた。

『しかし、彼女たちは生きていたのです。世界・ふしぎ・発見!』


 完全降伏して生き残った女官たちは、他国に連行されてしまう。その知識は貴重なものだったからだ。中でも女官長は博識で、それなりの位を与えられ、軍を指揮までするようになった。


 また映像が途切れる。

『彼女が亡くなって○年後。彼女がいた国に戻ったのは、彼女ではなくその孫の』

 エンディング。テロップが流れる。

 番組一本、しっかり見た夢だった。

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