第6話 どんど焼き

 正月飾りを焼く「どんど焼き」に来た。

 ここでは正月飾りのほかにも不要になった物をどんどん焼く。

 周りに合わせて自分も焚き火に不要品をどんどん積み上げている。

 今手にしたものは一枚のふるい写真だ。

 セピア色した家族写真で、大正時代を思わせる服装の親子が礼儀ただしく並んでいる。

 しかし全員頭の部分が空白で誰の家族写真かわからない。

 ちょっとためらったけど、山につっこんだ。

 自分のものじゃないし。


 次に手にしたものは原稿の束。

 ああ、これはとても大事なものだ。

 両腕いっぱい使って抱きしめる。胸があたたかくなった。

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