特に良かったのは、瑠佳が単純に姉を嫌っているわけじゃないところ。ちゃんと尊敬しているし応援もしたい。でも近すぎるからこそ苦しくなる。その感情がすごく自然です。
オーバートレーニング症候群に至る流れも説得力があり、「努力すればするほど壊れていく」描写がかなり痛い。スポーツ経験者ほど刺さりそう。
あと、幼少期パートを後半に入れたことで、「最初は同じ景色を見ていた姉弟だった」という原点が効いていました。だから今の距離感が余計につらい。
瑠奈が嫌味なキャラではなく、本気で弟を気にかけているのも好印象でした。単なる天才姉じゃなく、“近すぎる光”として描けているのが強いです。
この作品を読んだ時、スケート選手の高木姉妹のことが思い浮かびました。
小さい頃から才能を開花させた妹の美帆選手、その才能に嫉妬し苦悩することも多かったと語る菜那選手、このお二方と、この作品の姉弟は重なる部分があるのではないだろうかと思います。
私にも兄がいます。作品中の姉弟のように、兄の才能に妬むことも少なくありませんでした。
きっと兄弟のいる方なら、この作品の良さがより一層際立って分かることでしょう。
時にその才能に嫉妬することがあっても、自分を一番側で励まし支えてくれるその姉弟の強い絆を、細やかで麗しい文章によってより強く実感できると思います。
まさに青春を彩った、本当に綺麗な物語です。ありがとうございました。