第35話 デーコンカット
握った刀からサテナの力を感じる。魔力かな。
「小吉、初っ端から技使っていくヨ!」
「え、技?」
技なんてあったか……?
「ほら。ケンタウロスと戦った時にやったヨ!」
「あ、あの時の……」
ダサい技名の……。てことは?
「え、じゃあ俺またあのダサい技名叫ばなきゃダメなの!?」
「崇高な悪魔族のご先祖さまが作った技の名前に文句があるなら聞くヨ」
ありません。ないのでその笑顔をやめてください。目が笑ってないから。
俺の頭の中にサテナの魔力を通じて変な言葉が流れてくる。きっと技名だろう。数種類あるから、マシな名前だけ選んで叫べばいっか。
「んじゃあやるか」
「準備おっけーだヨ!」
俺はとりあえず「これからバトルが始まるお」みたいな構えをする。
えっと、マシな名前は……、お、これとか普通にかっこいいな。
「
俺は今まで出したことないような大きさで叫ぶ。やべえ。今の俺ってもしかしてかっこいいんじゃね? ……あいや、痛い子か。
と、俺が考えてる間に技が発動すると思ったが……。
「おいサテナ、どうした?」
「小吉。そんな大技出したら、小吉の身が持たないよ」
「は?」
俺の身が? そんなヤバい技なん?
「小吉……。覚悟は出来て」
「キャンセルで! 命までは捨てれねえよ!」
んじゃあ……、次にマシなの。は、またヤバい技かもしれないからな。そこそこな名前のやつ選ぼ。
「で、
叫んだとは言えない、弱々しい声で言った。
「もっと叫ぶんだヨ!」
「叫べるか!」
「叫ばないとアタシのモチベが」
「お前の問題だろ!」
「でも」
「早くしてくんない!? 小町さん待ってくれてるから」
毛繕いしながら待ってるからさあ。てか小町さん、ほんとに正気失ってるの?
「もう、しょうがないから技出してあげるヨ」
「べらぼうめ」
てやんでい。ちくしょう。
俺の右手が勝手に動き、妖刀「小悪魔」が紫色の禍々しいオーラを出しながら小町さんに斬り掛かる。小町さんも毛繕いをやめ、威嚇の体制をとった。
「にゃあああ!」
「ぬああああ!」
変な声が漏れちゃった。
だってしょうがない。刀に振られて俺の体は空中でぐるぐると廻ったのだ。
回転する刀は小町さんに見事当たり、小町さんの体を一周して切りつけた。
「にゃああああああああ!」
「ぬおああああああああ!」
吹き出る血を見てまた変な声が出た。
これはモザイク必須。異世界って生々しいな。
「小吉さん凄いです!」
サテナの力だけどね。それはいいとしてアナちゃん。この惨状を見て俺をおだてる余裕があるとは、一体イタリアでどんな生活してたんだい?
「おのれ悪魔め。落ちこぼれの癖にこの力とは……」
そうだよ。デーコンってーのにひでえ力だてやんでい。
「あの時のアタシとはもう違うんだヨ」
「同じはずじゃ! セタ・デヴィリを失ったお前に、力が残っているはず」
「失っただけじゃないヨ!」
刀からサテナが出てきて言った。
「失ったアタシは、今度は手に入れたんだヨ」
「手に入れた……じゃと?」
小町さんのサイズが小さくなる。
「なにをじゃ。弟を失って何を手に入れた!」
「仲間だヨ」
わーお。テンプレ……。ごめん。雰囲気壊した。ほんとごめん。
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