三日目⑩

 黄色いドラゴンのオブジェがあるドラゴン橋近くにもタクシーは停車し、キョウは遠慮なく撮影した。

 全長六百六十六メートル、片側三車線のこの橋はダナンの目玉として、二〇一三年に完成した世界最長の鋼鉄製ドラゴンとしてギネスブックに登録されている。夜になると一万五千個ものLEDでライトアップされ、背の部分は黄色、赤、青、緑などカラフルに移り変わっていく。しかも口から火や水を噴く。


「すっごい橋だね」


 カコが呟くと、


「なんや、ベトナムの橋はおもろいことしはるなあ。渡月橋の灯篭流しのほうが風情ある思うけど」


 トモはおっとりとした口調で言い、


「ドラゴンの口から火だけでなく水もやなんて、派手さにはほんまにかなわへんなあ。京都駅前の音楽噴水の雅さにくらべたらとてもとても」


 涼し気な表情でキョウは穏やかに謙遜してみせる。

 横で聞きながら、サクヤは何を買おうか思いを巡らせていた。

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