伊坂の母親-2

 京子は、伊坂が入籍を知らせた翌日の午前中に、伊坂の部屋に電話をかけた。

 伊坂は仕事に行っており、電話に出たのは理世だった。


 京子は感じ良く挨拶をし、理世に、友里の入院先を訊いた。理世は「友里のことを心配してくれているのだろう」と思い、F総合病院にいること、状態はどうか、そして自分が毎日何時ごろ病院に行っているのかなどを、京子に伝えた。


 その日の電話はそれで終わり、理世はいつも通りに家事を済ませ、午後の面会のために病院に出かけた。


 理世が保育器の前に座って友里の頭とお尻を触っていると、看護師の千穂が嬉しそうな様子で声をかけてきた。


「おばあちゃん、今日いらっしゃる日だったんですね!」


 理世は思わず立ち上がった。千穂の後ろに、嫣然と微笑む京子が立っていた。それが二人の初対面だった。

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