名前-2
「理世どうする? 眠る? それならシーツ替えるけど」
帰宅して荷物を置くと、伊坂が訊いた。
「まだ眠らない。母乳を絞って保存しないと。それとシーツは替えなくて大丈夫」
退院時の説明で、産科とNICUの看護師達からしつこく、「三時間おきに母乳を絞って下さいね、篠田ちゃんの大事なお食事ですから」と言われていた。
理世は三時間おきの細切れ睡眠が本当に苦痛で、それは態度にありありと出ていた。退院直前には、理世を眠らせておくために伊坂が看護師をやり込めたし、二人とも看護師達の信用を失っていた。
「ほんとにやるの、三時間おき」
「やる。篠田ちゃんの大事な食糧だし、ダメ母認定されたままじゃ悔しいし」
「わかった。でもたまにはサボって沢山寝て」
話しながら、理世は元に戻ってきた、と伊坂は思った。本来の理世は、弱音を吐いたりいじけたりしない。伊坂は、理世の真っすぐで元気なところが好きだった。
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