「可愛い可愛い可愛い」

 あ、ごめん、食事の邪魔をしちゃって。

 そう呟いた時、既に鶯は飛び立っていた。カメラのレンズ越しに見た彼らは大変小さくて可愛らしくて、可愛いって言われ慣れているに違いなかった。彼ら自身はそんなこと、全然気にしてないのだろうけれど。

 可愛いに縛られた僕らは、今日も可愛いを連呼する。可愛い可愛い僕らと、可愛い可愛い世界は、僕らの中で可愛く生きていくのだ。

 ほら、春が来ている。

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