恋するキャリアウーマン
私は、キャリアウーマン
仕事一筋で頑張っている
ようやく、大きな契約を決めた
今回の案件は大分複雑であった
競合相手であった大手ライバル企業が我々の部品を使いたいと言ってきたのが始まり
この、場合我々の技術が盗まれる可能性があって好ましくない
しかし、大手企業の申し出に警戒しつつも、自慢の部品を売りたいと考えていた
相手も我々の技術が知りたいと言う意図がありありと見え
製法、ノウハウなどの開示などについてギリギリの交渉が続いた
ようやく、契約がまとまったところで
相手企業の会長が私にこう言った
『あなたの仕事ぶりはすごい
まだ、独身とだそうですね
よければ、会社の男性とお見合いしてみませんか?』
断るわけにはいかなかった
過去に例を見ない大口の取引相手の申し出
しぶしぶお見合いに参加した
本来、休日の日に私は静かな和風の待合室にいた
会社の上司が付き添い人をやってくれた
重要な取引相手の社員だ
少し事情が違う
美しい庭を眺めながら考える
このお見合いには裏がある可能性が高い
相手の男は私に取り入って来ようとするだろう
その場合、我々の会社の情報を引き出す事が目的だ
警戒は怠ってはいけない
穏便にやり過ごせないものか
お見合いが始まった
やって来た相手の男は背の高いイケメンであった
お互いの上司が挨拶して
簡単な自己紹介を済ませた
それから、私が尋ねる
「兄弟はいらっしゃいますか?」
爽やかにお見合い相手は答える
「兄がいます」
「私は男兄弟がいなくて
家に入ってもらう事は可能ですか」
「それは、大丈夫です」
「いい人じゃないか」
私の上司が呑気な合いの手を入れた
家族構成や仕事ぶりの話してから一旦休憩が入った
待合室に下がり少し考える
やはりどうも様子がおかしい
相手の男が、出来すぎてている
私の事も大分調べられている
家族構成もその一つだ
なんなら好きな顔のタイプも熟知している
相手企業の強い意図を感じた
もしかしたら待合室の盗聴、それくらいはされているいるかもしれない
女は待合室の会話で情報を流してみる事にした
「外食はイタリアンが好き」
「休み日はほとんど映画を見て過ごす」
「犬が好きだ、また飼いたい」
再びお見合いが始まる
2人の休日の過ごし方の話題になった
男が言った
「休みに映画館に行った後、帰りにイタリアンを食べるのが定番コースです」
私の趣味に意図的に合わせに来ている
「実家で、犬を飼ってます」
確信した盗聴されている
再度の休憩時間にメモ帳に書いた
『この部屋は盗聴されています』
上司は驚いた
私は筆談を続けた
『相手は私の理想の男をよそおっています』
上司は、筆談で答える
『考えすぎじゃないのかね
好みの男だったのか?』
『それはもう』
『何が目的だ?』
『私から会社の情報を引き出す事でしょう』
『でも、盗聴なんてするものなのか?
SNSでも見たのんじゃないのか?』
三度お見合いが再開された
「あとは、若い2人に任せて……」
2人で散歩する事になった
優しそうな顔つきであったが、手はゴツゴツしている
話を聞くと、野球をしていたと言う
私はスポーツマンが好きだ
SNSでも公言している
2人しかいない、これはいい機会だ
「あなたがお見合いに参加している理由
会社の情報が目当てだと言う事はわかっています
あなたには騙されません、馬鹿にするのはやめていただきたい
やり方が、姑息です
卑怯な人間は好きになれない
……」
まくし立てるように思いのたけを長々と話した
男は話を聞いた後にこう話す
「そんな風に仕事の心配をするところが、あなたの魅力です
責任感があって、他の人にはない所です
私はそんな人間じゃ無いですよ
すごく和服姿が素敵ですよ」
私の理想の男性は、
・話を聞いてくれる人
・私を見てくれる人
これは、SNSにも載せていないし
誰にも言ったことがない……
どうやら、彼はただただ単純に私の理想の男性であった
それから、彼女は、男と付き合うことになった
そして、会社は、吸収合併され一つの会社になった
メデタシメデタシ
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