クレプトマニア

俺はどこにでもいる18歳男子高校生だ。人とちょっと違うところは俺がクレプトマニアという疾患を患っているということだけだ。

今日も見知らぬ住宅に配達された牛乳を盗み、ごくごくと飲み干して空き瓶をそこらへんに投げ捨てた。牛乳の瓶は結構丈夫にできていてちょっと投げつけた程度では割れなかった、これがオレの抱える疾患、病的盗癖をもっている人間の日常である。


そして今日も近所のスーパーに行って何を盗むか考えていた。人がいないのを見計らって、俺は別段欲しくもなんともないスリッパを懐へ入れてスーパーから出ようとした。そうして警備員に肩をつかまれた。


「お前常習犯だな?」


俺は初めて捕まったわけではなかった、これで3度目の補導である。

母親が呼び出され、さめざめと泣いた。


「この子は何も悪くないんです、すべて病気のせいなんです!」



なんでも病気のせいにできるのはありがたいことであったが、俺はこのスリルをやめられずにいた。学校へ連絡がいき、俺は停学になることになった。

ある朝目覚めると母親が書置きを残していなくなっていた。


みつるへ 母さんはある人と幸せになります。


俺は何かを人から盗まれたのは始めての経験だった。そうしてその紙をびりびり破いて食ってやった。

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