三年生の妹も可愛い

ダメ姉は、三年生になる

 なんやかんやと色々あったりなかったりしたけど、月日は巡り一年が過ぎ。気づけばまた桜の花が咲き乱れる暖かな春を迎える事となっていた。


 さて、ここで一つご報告させていただくとしよう。私こと立花マコは……晴れて三年生になりました。


 ……はい、そこ。『ダメ姉って進級出来たの!?』とか友人たちみたいに驚かないように。これでも私は毎日コマが誇ってくれる、そして惚れてくれる立派な理想のお姉ちゃんを目指して苦手な勉強とか色々頑張っているし……そのお陰か成績だって少しずつ上がってんだよ?


「いや、マコの場合はアレでしょ。成績関連もだけど……授業態度やら生活態度が絶望的にダメダメだし、無事に進級出来た事を驚かれても仕方ないんじゃないの?やっぱり私がアドバイスした通り、先生たちに毎度毎度土下座した甲斐があったわねマコ」

「……ホントホント。マコよく進級出来たね。私、正直今年も二年生やるんじゃないかって心配だった。気まずくなるし、マコに朝会うたびに『ヒメっち先輩おはようございます!』とか朝の挨拶されずに済んで良かった良かった。毎日の土下座が効いて何より」

「二人してさらりと酷い事言ってくれるね、カナカナにヒメっちや……土下座なんてしてねーっての」


 クラスメイトとなった親友二人にジト目で返事する私。……ああそうそう。三年生になって、喜ばしい事が二つある。一つはこの我が親友ズ、叶井かなえと麻生姫香―――カナカナとヒメっちと同じクラスになれた事。

 こんな風にちょくちょく弄ってくるのが玉に瑕だけど。信頼できる優しい最高の親友たちとクラスメイトとしてこれから一年間一緒に居られるなんて素敵だよね。


 そしてもう一つ。私にとってこの上なく喜ばしい事がある。それは―――


「全くもう……カナさま、それにヒメさまも。あまり私の姉さまを茶化さないでくださいませ」


 そう言って、私の隣の席に座っていた……私の妹にして生涯の伴侶。最愛の嫁の立花コマがにこやかに笑う。

 ―――そう、そうなのだ。これこそが最も喜ばしい事……!小学校は勿論、中学に上がっても……一年生、二年生の時は叶わなかった事……!


 念願の……コマと一緒のクラスになる事が……三年生になってようやく叶ったのである……!


「全く……悪い冗談です。真面目で不正を許さずどんな時も正々堂々を信条としている姉さまが、そんな先生方に媚びへりくだった土下座なんてするわけないでしょうに」

「だよね!だよね!ホラホラ!もっと二人に言ってやってよコマ!」

「はい!お任せください姉さま!何せ『どうか……どうかマコ姉さまを無事に進級させてくださいませ!』と土下座して頼み込んだのは、他でもないこの私ですからね!」

「……ちょい待ちコマ。何やってんのコマ……!?」


 え……?もしかしてマジでコマそんな事したの……?そして私は……最愛の妹にそんな事をして貰わないとガチで進級が危うかったの……?こ、これは流石にコマなりの精一杯のお茶目なジョーク……だよね?……ね?


「い、いやぁそれにしても。……コマ、カナカナ、そしてヒメっち。三人がまさかまさかのクラスメイトだなんてね!」


 進級の件に関しては一旦話を置いておくとして。錚々たる顔ぶれに感動すら覚える私。

 カナカナと、ヒメっちとなれた事も。そして勿論…………生まれて初めて、コマと一緒にクラスメイトになれた事も……!嬉しい、死ぬほど私は嬉しいぞ……!


「……それにしてもちょっと不思議」

「ん?何がかねヒメっちよ」

「……ほら。大学とか、専門学校とかならまだしもさ。小学校とか中学校とか高校で双子が同じクラスになる事って稀って聞く。それなのによくマコとコマが一緒のクラスになったなーって思って」

「あー、それは私もちょっと思ったよ」


 ヒメっちのその一言に私は大いに頷く。……クラス発表の当日、私はマジで一瞬昇天しかけた。ヒメっちの言う通り、双子って別クラスになる事が基本だと噂では聞いていただけに……クラス分け発表のその日までは内心『はいはい、どーせコマとは別のクラスでしょ』と不貞腐れていた私。だから二人の名が書かれていた時は、正直この学校の合否発表の時以上に歓喜して感涙に咽、そして学校の中心でコマの愛を全力で叫んでしまった程だった。


 一体誰かは知らんが……クラス分け考えた先生よ、心の底からありがとう……!私一生尊敬するね……!








「…………(ボソッ)コマちゃん、どんな手を使ったの?」

「…………(ボソッ)あら。何の話でしょうかカナさま?」

「…………(ボソッ)とぼけないの。貴女自分でクラス分け発表される前に私に宣戦布告してきたじゃないの『今年からは、姉さまは勿論カナさまからも目を離さないのでそのつもりでいてくださいね♡』って。あの時点で自分がマコと一緒のクラスになれるって分かっていたんでしょ?ねぇ、何をしたらマコと一緒のクラスになれるわけ?」

「…………(ボソッ)別に何もしていませんよ?ただ先生方に『私、もし姉さまと一緒じゃなかったら成績下がるかもしれません』『姉さまと一緒じゃないとモチベーションが下がって……部活動の助っ人にもやる気が出ないかもです』としか言ってませんよ?」

「…………(ボソッ)こわいわー、先生を脅迫とかこわいわー。……そこまでしてマコと一緒になりたかったとか、流石私の恋敵ね。コマちゃんはホント手強いわ」

「…………(ボソッ)怖いのは……貴女の方ですよ、カナさま。そりゃあ勿論姉さまと一緒が良かった事が一番の理由ですけど。こうでもしないと……誰かさんがいつ寝首を掻くかわかりませんからね」


 私とヒメっちがそんな話題に花を咲かせている横で、コマとカナカナがにこやかに(?)二人でなにか語り合っている。よくわからんけど二人とも楽しそうで何よりだ。


「ま、何にせよ。このメンツとの学校生活はそれはもう最高の一年になりそうだわ!カナカナ、ヒメっち。そして……コマ!みんなこれから一年宜しくね!」

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