第5話 断首台と虐殺英雄

5ー1

 俺は夢を見ていた。

 それはとても懐かしい夢。

 もう、決して再び見ることが叶わない泡沫うたかたの夢だった。


 俺は、大量の殺人を行い、今は独房に収容されている。

 残された時間は、死刑執行されるまでの猶予だった。

 だがそれも、もう終わりに近づいている。


 その時、看守が連れてきたのは見知らぬ男だった。

 男のかたわらには、動く度に銀髪が美しくきらめく少女が立っている。

 どことなく、俺が知る女性に似ている気がした。

 ーーそれは何故か。

 俺は少女を観察して気付く。

 少女には大量殺人鬼である俺を前にしても動じない、強き意志を秘めた眼差しをもつ。


『この少女も、重い使命があるということか』

 俺は一瞬、記憶の中で鮮明に刻まれた女性と重なり、思わず笑みがこぼれた。

「要件はなんだ」

 俺は男に問うた。

 男は重い口を開けてこう、続けた。

「あなたの願いを叶えるためにやってきた」

男は不敵に笑い、少女も大きく頷いてみせたのだ。

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