4ー13

「ルニア」

 名前を呼ばれてハッとして顔をあげる。

 どうやら少し眠りこけていたらしかった。

 ルニアは慌てて、駆け寄った。

 その時、思いがけないことが起こる。ルニアの頭にご主人様が手を置き、撫でている。

 別に、褒められることもしていない。

「その、なんだ。さっきは言い過ぎた……のかもしれない。だから、その機嫌を直せ」

 ルニアはクスクスと笑う。できるだけ上品に。

「ありがとうございます。そのお気持ち、とても嬉しいです」

「なら、行くぞ。遅れるな」

 照れ隠しなのか、そっけない態度で先を歩いて行く。

 だが、ひらひらと右手が空けられて揺れていた。

 ルニアはできるだけ慎ましくその右手を握った。

「次の街に着くまでだ」

 ルニアは突然のご褒美に浮き足立つのを抑えるのに気を配る。

 少しでもこの幸せな時間が続いて欲しいから。

 ルニアもそっとご主人様の手をやさしく握り返した。

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