4-10

「ああ、実の親でもない。愛されていたわけでもない。馬鹿げているが育ての親である男を庇ってこのザマだ」

「まあまあ、それはお気の毒に。でも私、こんな年端もない子女が死ぬところ、見たくありません」

 メイドは紳士に懇願した。どうか、助けてやってほしいと。

 紳士はうな垂れながら、メイドの言葉を反故にはできないのだろう。

「わかった。お前の頼みだ。今回は助けてやる。だが、死に引かれているものを助けるには命がふたついる。ひとつは死神に渡すためのもの。もうひとつはお前に捧げるもの」

 だがメイドは何の問題もないといった風体で、状況を飲み込めずにいるエリザとクリスを見る。

「ちょうどいい素材が近くにあります。私の好みではありませんが仕方ないです」

 と、話を言い切る前に「え?」と二人の疑問視する声が聞こえたかと思えば、ズルリと首と胴はふたつに分けられた。

「こっちの青年を死神に捧げる。そしてこっちの美女をベスに捧げる」

 ベスと呼ばれたメイドはエリザの首を優しく抱きしめて口づけをした。

 うっすらと少女の周囲で魂を奪おうと旋回していた死神は、クリスの魂を持って霧散する。

「これで死への脅威は去った。あとは」

 紳士が見ると、エリザに口づけをしているベスは吸い尽くそうというのか。

 長い口づけを交わしている。

 だが着実に変化しているものがある。

 エリザの首から下の胴体だった。

 ベスが口づけし吸い込むたびに、エリザの胴体は干からびるようにシワシワとなり痩せ細り、挙げ句の果てに老婆のような無残な姿に変わり果てていた。

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