北海道の雪の時期に発生する雪虫。
お話は、虫が苦手な主人公礼二が北海道に旅行するところから始まります。
この作品は『魔法使いと珈琲を』の続編なのですが、単体としても楽しめます。
『魔法使いと珈琲を』も読んでいると、なおさら盛り上がるのは当たり前なんですが。
北海道から帰宅した礼二の部屋に、真っ白な女の子がいきなり現れるのが、彼女は「私は雪虫だ」と名乗って……。
ここから不思議なお話が繰り広げられます。
『雪虫』と名乗った女の子は、冷たい物をとにかく良く食べます。熱いものはお茶の湯気でもNG!
良く食べ良く寝る女の子に翻弄されながらも、北海道の大学に通う姉の協力も得て礼二はなんとかこの子と共同生活をしていきます。
そんな中、魔法使いの息子だという姉の同級生の力を借りる事になって……?
って、魔法使いって!?
っていう流れですね。
もうね、最初は「虫の話か!?」って戦々恐々としましたね(虫苦手)。
でも、最後は「雪虫さんに会いたい」くらいには思いました。えぇ。
作者の宇部松清様も虫が苦手で有名なんですけど、それなのにこんなに雪虫に対する愛に溢れた作品を書かれただなんて懐の深さが尋常ではありません。やはり天才だったのか……?
このお話、良作なのに埋もれております。なので私は掘り起こしました。
まるで長い童話を読んだかのような錯覚を覚えました。良質な童話風小説です。
クライマックスは号泣です。深夜にPCの前で号泣です。
このお話に泣かされるとは冒頭辺りでは思ってなかったわ。
いい意味で裏切られました。
ああ、何だか、『魔法使いと珈琲を』もこの作品も、絵本で読みたいよねぇ……。
自宅浪人中の夏木礼二の部屋に突然現れたのは、真っ白な服を着た少女。
彼女は、礼二に対し開口一番「食べ物を持ってこい」と所望された……。
そんな少女と礼二のやりとりを中心に話がすすむのですが……。
この少女。
実は雪虫の女王。
ある使命を背負ってこの世に誕生し、そしてその大役を果たそうとするのですが……。
礼二や女王は「何を選択」するのか。
そんなハラハラするシーンもあるかと思えば。
このお話の前作でもある『魔法使いと珈琲を』のご家族も登場し、ほんわかほっこりムードも漂う、緩急つけたストーリー展開。
冬が始まるこの時期。
ぜひぜひ、ご一読くださいませ。