それぞれの覚醒(中)
◆
スコットとスプーが
ただ、ここは小さな
「君はこの男を知ってるか?」
スプーがダレル・クーパーの姿に戻った。
「知ら……」
スコットはそう言いかけたが、口をつぐんだ。その顔に見おぼえがあった。
相手は五年前に死んだ人間で交流もなかった。だが、ストロングホールドに
「知っているようだな。かつてこの男は、
「……体を手に入れた?」
あの日、スプーは
「こいつは頭がきれる男でな。おまけに勘もするどかった。だから、あっさり正体を見ぬかれてしまったんだ。退くに退けず、やむなく戦うことにした」
病的なまでに用心深いスプーが、リスクを負っていどんだ戦い。だまし討ちではない正面きっての戦闘は、彼にとってきわめてまれだ。
「ギリギリの戦いだった。打ち勝った時の興奮は、今でも忘れられない」
感情にとぼしいスプーの顔つきが、みるみる
「まあ、その後、うぬぼれたあげくに辺境伯へ勝負をいどみ、あっけなく返り討ちにあったのだがな」
スプーが
「それほどの男が私に敗れ、この体を差しださざるを得なかった。これが何を意味するかわかるか?」
「あんたがイカれたバケモノだってことだろ?」
「君ら魔導士は、私の前では
「息まいているところ悪いけど、その話はもう知ってたぜ」
「ほう、すでに広まっていたか。どうりで反応がうすいと思った」
顔には出さなかったが、スプーは動揺していた。〈闇の力〉が復活したため、以前よりはマシな状況だが、彼の本体が
「そういえば、助けを呼びに行った女がいたな。さっさと片づけるか」
「やれるもんならやってみろ」
◆
スプーが手始めに発動したのは、意外にも『
スコットの『かまいたち』が『水竜』をまっ
魔導士としてはスコットが
スプーはなかなか手のうちを明かさない。あくまで〈闇の力〉は奥の手だ。威力の面では魔法と変わらないが、身体の一部として機能するため
ただし、速度面で
スコットは接近をさそうような敵の動きを
しかし、
スコットはそれを氷の魔法に求めた。彼の頭上に『
「氷の魔法も使えたのか」
「つたないけどな」
発現された『氷柱』の
ただ、スコットは
そして、太いほうを直線的に放った一方、細いほうを『
体のいたるところから、
「
「この力を使うのは
スプーが一歩ふみだしたと同時に、触手の一本が攻撃を始める。スコットは後方へ飛び、せまり来るそれに『かまいたち』で応戦した。切断された触手はたちまち
たて続けにのびてきた二本目も、スコットは楽々と対処した。ところが、地をはうように進んだ一本に気づかず、足首に巻きつかれた。
触手の力はせいぜい人間と同程度だが、不意をつかれたため、あっさり転倒させられた。さらに、別の触手にもう片方の足もとらえられ、完全に動きを
スコットは抵抗できずに、力ずくに路上を引きずられた。まもなく視界に入ったスプーは、勝ちほこった笑みをうかべていた。
自由な両手で『かまいたち』をお見舞いしようとしたが、逆に『水竜』で反撃を食らう。ずぶ
触手によって、スコットの右手から二つの指輪が
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