スカイダイビング(前)
◆
トランスポーターは
ウォルターとパトリックの二人が、
『転覆の魔法』が解除されたとはいえ、すぐに
(先にあっちを片づけるか)
彼はターゲットを切りかえた。作戦の開始前から、ひそかに
ターゲットは自身が市街まで送りとどけた。そのため、だいたいの居場所はわかっている。
『
肩を怒らせながら通りを進むゴーレムを、
ターゲットを送りとどけた場所――南地区の小さな一軒家へ到着したが、屋内にも屋外にも、その姿はなくなっていた。
とはいえ、相手は
すると、
そこは周辺の建物より、ひと
護衛のゴーレムが待機しているからか、身を隠していない。鼻歌でも歌っていそうな様子で、街をながめていた。
トランスポーターは近くまで移動し、背後から静かに歩み寄った。ネクロは接近する足音に気づいたが、後方をチラッと見ただけで、すぐに視線を前に戻した。
「ご苦労様です。見事にやりおおせたようですね」
「やったのはインビジブルだ。僕はトリックスターと遊んでいただけさ」
「そうですか。私にしてみれば、どちらでもかまわないんですけどね」
「それで、そっちの状況はどうなんだ?」
「順調です。始めは苦戦しましたが、ひと
相手が背中を向けているのいいことに、トランスポーターは敵意をむきだしにした。
「それにしても、こうもあっさり『転覆の魔法』を解くとは。インビジブルはよほど有能なお方らしい。この国の魔導士だったとは思えませんよ。それで、
「それはわからないな。十数年間、いくら探しても見つからなかった相手だ。箱をひっくり返したからといって、簡単に見つかるとは思えない。これから
「それもそうですね。ただ、『あの女』の捜索には手を貸せませんよ。さすがのゴーレムも、見ず知らずの人物をさがしだすことはできないのです」
最初から期待していなかったため、トランスポーターはどうでもいいといった様子でそっぽを向いた。
「これからどうするつもりだ?」
「ここで引き上げるのもバカらしいですから、しばらく遊んでいきます」
「そうすると、このまま
「無益かどうかは見解の
ネクロはゲスな笑みをうかべ、相手を
◆
「そうだ。君に見せたいものがあるから、ちょっと一緒に来てくれないか」
トランスポーターはそう言って近づき、ネクロの腕に手をかけた。自身の
「かまいませんよ」
ネクロは
二人がレイヴン城の方向へ移動をくり返す。ネクロが連れて行かれた先は城壁の隅に位置する城壁塔のてっぺん。そこは足場が一人分しかない。
地上からの高さはおよそ三十メートル。トランスポーターはかけていた手の逆の手で胸ぐらをつかみ、ネクロを細い一本の腕で
ネクロが苦笑しながら、
トランスポーターは〈
「どういうつもりですか? こんなことをされて喜ぶ趣味はないんですが」
以前から、敵意を感じていたためか、ネクロの動揺は少ない。ジタバタとムダな抵抗をせずに、相手の腕に身をゆだねた。
「もう私は
意味深な笑みを見せたが、トランスポーターは何も答えない。それが頭にきたのか、ネクロは
「誰の意思だい? 心よりの
「どうだろうな」
「いや、これは君の
トランスポーターは鼻で笑うにとどめ、
「始めから食えない男だと思っていたが、ここまで
「それならそれでかまわないさ。元々、彼とは
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