ゴーレムの襲撃(中)
◆
ネイサンは自身と同等の大きさまで成長させた『
『氷柱』は重量がある分、スピードが遅く、直線的な動きしかできない。通常、動く相手をねらうのはきわめて困難だ。それを風の魔法であやつるという
ただし、ゴーレムには攻撃をよける
「よし、全く
「チーフ! さっさと逃げましょう!」
ゴーレムが進撃を再開し、二人は先ほどまでいた
「
「昔話はいいですから! チーフ、こっちです!」
スコットがさらに細い路地へ折れたが、タイミングをのがしたネイサンは、そのまま直進した。
走るスピード自体はネイサンが速い。しかし、ゴーレムは疲れ知らずで差がつまり始めた。背中に
スコットは先に路地をぬけ、元の通りに出た。そして、遠くで上がった声を天にも昇る気持ちで聞いた。
「ジェネラルが戻って来たぞー!」
「ジェネラルだ」
「ジェネラルが帰ってきた」
口々に言う魔導士たちの視線を追う。馬を
「ジェネラル! 大変……あー、もう来てる!」
振り向いたスコットの視界に、ネイサンと
「ジェネラル! 後ろのアレをどうにかしてくれ!」
「ネイサン、脇にそれろ!」
その言葉を合図に、またたく間に形成された『氷柱』が、『
『ゴン』とにぶい音をかなでたゴーレムは、二メートル近く後方にふっ飛ばされたが、倒れることなくふんばった。
何事もなかったかのように敵が動きだすと、さすがのジェネラルもあせりをにじませたが、手を休めることなく攻撃をたたみかけた。
手元からはい出た『
ジェネラルがさらなる手を打ち、手元側から『水竜』を
ゴーレムはくわえ込まれるように捕まえられた――かと思いきや、振り上げた両手を勢いよく下ろし、氷の竜をたやすくたたき割った。
ゴーレムが腹部に氷を巻きつかせたまま進み始めると、ジェネラルは顔を引きつらせて手を止めた。
「いったん退くぞ、ジェネラル!」
◆
スプーとネクロはストロングホールドに来ていた。街の人間に『
現状、ネクロはゴーレムの直接操作も可能だが、今回は命令を与えたのみで、どこまで魔導士と渡り合えるかの実験だった。
ネクロが対象に与えられる命令は三つ。今回は『ストロングホールドの中心街へ行く』、『視界に入った人間を
五年前の〈樹海〉で、あっけなく
さらに、〈闇の力〉をエネルギー源とするするため、
泥人形は同量のエネルギーで一年近く動き続けたが、ゴーレムは長くて一週間。激しい活動を続けると最短三日でエネルギー切れを起こした。
とはいえ、ジェネラルの攻撃をはねのけ、ここまでの戦いぶりは満足のいくものだった。シビアな評価をくだしがちなスプーも、つい
◆
ジェネラルら主要メンバーは、交差点の角にある建物へ集まり、立て直しをはかることにした。そこの屋上からは二つの大通りを見渡せた。
「ネイサン、五年前に現れたのとくらべてどうだ?」
ジェネラルが話を切りだした。
「見ちがえるほど
「あれを物理的に破壊するのは難しそうですね」
「おとなしくしてくれたら、できないことはないんだけどな」
メンバーが口々に意見を述べると、スコットもこう参加した。
「氷づけにするのはどうですか?」
「破壊する時に、氷をとかさないといけないだろ」
「ああ、そうですね」
ネイサンが
「火と雷の魔法は通じない。
そう言ったジェネラルが、
その近くをゴーレムが通りかかった。
「ああ、絶体絶命のピンチ」
ハラハラと見守るスコットがつぶやいた。ところが、ゴーレムはみじんも馬に興味をしめさず、脇を
「ん、馬はねらわないのか」
「人間が大好きなんでしょうね」
「あっ……、だったら水はどうですか?」
スコットが何かをひらめいたように言った。
「
「いや、水の魔法じゃなくて、あいつ絶対に水に
「ああ、そうか」
ジェネラルがハッとした様子を見せた。
「川に流すってことか?」
「この辺りの川は、あいつが沈むほど深さがないぞ」
「でも、ここから海まで連れて行くのは気が遠くなりますね」
「中央庁舎の
メンバーの意見にジェネラルがうなずいた。他のメンバーも「そうだな」と
「底のほうは結構広いから、そこで生活してもらうか」
「あとは、どうやってあいつをそこまで連れていくかですね」
「氷づけにするなり、何とか足止めして、馬で引くのはどうだ?」
「それで行こう。足止め役の魔導士と馬を、できるだけかき集めるぞ」
ジェネラルの
「ちょっと待ってくれ」
けれど、ネイサンがそれを引き止めた。
「今はあの
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