侵入者の正体
◇
チーフの話が終わった。すでに話を知っていたのか、ジェネラルを始めとして、全く動揺していない人物が少なからずいる。
けれど、衝撃を受けている人も同程度いて、表情を見れば、初めて知ったかどうか
自分もその一人だけど、話の途中から、交渉相手の『
パトリックが話を引き継いだ。
「〈樹海〉から生きて戻れたのはネイサンのみです。
お聞きの通り、
パトリックはいったん話をくぎった。たちまち、
機密あつかいにされたのはもっともだ。ただ、あの能力を知った今となっては、単なる仲間割れと結論づけるのは
パトリックが顔を上げて、
「しかし、みなさん。もう一度、話を振り返ってみてください。すでに気づいている方もいらっしゃると思います。ウッドランドに現れたイェーツ卿、突如仲間を手にかけたダレル。そして、命を落としたはずなのに、一時的によみがえったサム。これらの謎が全て、昨日現れた〈侵入者〉の能力によって説明がつくことに」
「そうだな」
「確かに」
「我々は敵の
「それを裏づける決定的な証拠もあります。〈侵入者〉の能力は、どういうわけか、私とそこにいるウォルターには効果を発揮しません。そのため、
途端に議場がざわついた。ギルには初めて会った時から
「ダレル・クーパーが犯人だったってこと?」
クレアが問いかけた。
「私はそう考えていません。
「だったら、〈侵入者〉はなぜダレル・クーパーの姿をしていたのかね?」
「よく思いだしてください。もう一人の〈侵入者〉がトレイシー・ダベンポートの姿をしていたことを。ウォルターの証言によれば、二人の〈侵入者〉は普通に言葉をかわしていたそうです。
このことから、どちらかがもう一方をあやつっていたと考えるべきではありません。にわかには信じがたいですが、ここは彼らが死者の体を乗っ取れると考えるのが自然ではないでしょうか」
パトリックの
けれど、人間の体を乗っ取れる存在はなかなか受け入れられず、大半の人が
「私も
「私はダレル・クーパーを手にかけたのは、イェーツ卿の同行者だったアカデミーの研究員があやしいと思っています。こちら側の行動が
「その研究員が他人になりすます能力者で、交渉相手がゾンビをあやつる能力者ってことね……」
クレアがつぶやくように言った。あの二人は五年前から一緒に行動していたのか。
「それで、彼らの目的は何だったのかね?」
「その後の動きが五年間も
確かに目的は見えない。それから、悪事を働いていないようだし……。〈樹海〉の戦闘に関する話は、そこでひと段落ついた。
ふとチーフに目を向けた。そこに見なれた
「そうか……。裏切り者も、頭がおかしくなったやつもいなかったんだな。よかった……。本当によかった……」
チーフは救われた思いだったろう。かつての仲間にあらぬ疑いをかけたり、裏切り者のレッテルを
仲間のかたきを討つことだってできる。その考えにいたったのか、ふいにチーフの瞳に情熱がともった。そして、両のコブシをギュッと強くにぎりしめた。
◇
「もしかすると、中央広場事件もそいつらの犯行なのか?」
議員の一人が声を上げると、議場がどよめいた。
「そうか!」
「辺境伯もぬれ
その意見に同調する声がたて続けに上がった。けれど、表情をくもらせたパトリックが、ためらいがちに切りだした。
「中央広場事件については、唯一の目撃者である私から、説明させていただきます。あらかじめ断っておきたいのですが、あの事件の犯人が辺境伯であったことに、私は
冷や水をあびせる発言で、議場が静まり返った。パトリックをいぶかしげに見つめる人が相次いで現れた。
他人になりすませる能力があれば、罪をなすりつけることも朝飯前だ。断言するからには、それだけの確信があるのだろう。
「とはいえ、証拠はなく、それを証明する第三者がいるわけでもありません。あくまで私だけが体験した事実であり、それが真実であるかどうかは、みなさんの判断にゆだねたいと思います」
パトリックはそう
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