第12話 保護メール

朝からテンションが馬鹿みたいに高かった。


朝、ケータイが点滅していることに気づき、急いで画面を見てみると


「メールを受信しました」

となっていて、胸の高鳴りを抑えつつ差出人を見てみると



「差出人 タケル」

この時点でテンションはダダ下がりだった。内容もどうでもよすぎて読み流した。



テンションが下がり、メール画面から戻ろうとした所で、もう1件来ていることに気がついた。



「…あの子からだ!」

テンションがまた上がった。



「やっほー!✨✨✨✨さっそくメールしてみたよー✌

特に用はないけど(笑)

宿題とかテスト範囲とか忘れたら聞くからよろしくー✨✨✨✨」


絵文字なんて最近見ないから眩しかった。



「メールを保護しました。」



〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜


どうせ学校で会うからと、さすがに朝からメール返すのは辞め、

学校で、昨日早く寝てしまったこと、無視してしまったことを謝ろうと思った。


不思議なことに、これから人に謝罪しないといけないのに、すごく嬉しくて、ドキドキした。



教室に入ると、あの子はまだ来ていなかった。

いつもなら俺より早いのに。


タケルは来ていた。タケルの顔を見た瞬間何か忘れている気がした。



「おはよー!待っていたよ!」

と、タケルが妙にテンション高い挨拶をしてきたと同時に手をこちらに差し出してきた。


一瞬、こいつは何をしているんだ。と思ったがすぐに思い出した。

「あ…ごめん忘れた」


タケルは一目でわかるほどテンションが下がり、

「マンガ…マンガ…」

と呟きながら席についた。



まるで、朝の俺のようなテンションの変わりようだった。



しばらくすると、先生が教室に入ってきて、

あの子は今日風邪で休みということが分かった。


この時の俺もタケルのように、見た目でわかるくらいテンションが下がっていたと思うけど、

一番後ろの席の俺の変化に気づく者はいなかった。



昼休みになり、メールの返事のことを思い出した俺は、これはチャンスとばかりにメールした。


「ごめん。昨日は

早く寝ちゃってメール見てなかった。

今日風邪らしいけど大丈夫?無理すんなよー」


…なんか硬いかな


「ごめん。昨日は(._.`)

早く寝ちゃってメール見てなかった(汗)


今日風邪らしいけど大丈夫?無理すんなよ~」


…まぁいいか。送信



ブ-ブ-ブ-ブ-

数分後すぐに返事は来た。

「はや!仮病か?!」


「もーいきなり無視されたかと思ったー

(._.`)←これしょんぼりしてる顔?初めて見たけど可愛いね(笑)


風邪は大丈夫!少し熱あるくらいだから✨✨

今は教育テレビみながら寝てる(笑)懐かしい♥」



小学生みたいなやつだな



「メールを保護しました。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る