第138話 小話2の5 噂は誤解か真実か
もう俺には噂を流した犯人の見当はついている。
間違いなく内部犯だ。
だがまず、ここで噂の誤解を解いておく必要があるだろう。
「それならこの噂の解説をしましょうか」
探検部の面々が頷いたので、俺は順繰りに解説していくことにした。
まずは謎のバネ教団ではなく香緒里ちゃんのバネ工場だ。
「まずこのバネについては、宗教でも何でもありません。ある魔法工学科の学生がバネに関する魔法でパテントを取って通信販売をしている、その作業所です。
パテントの番号は017-332Eで検索すると出てくると思います」
メモを取ったり写真を撮ったりする取材班の作業を見ながら次へ。
俺の工房の作業台の前で止まって説明。
「これは単なる作業台で生贄を解体するなんて事はしていません。大型の金属部品を扱う事が多々あるのでそれにあわせて大きく作っただけです」
そして壁に鞘無しでかけてある日本刀へ。
「これはある魔法工学科の1年生が日本式の刃物を作る練習の過程で作った日本刀です。一応藁苞で試し切りはしましたが、生贄解体などという血生臭い用途には使っていません。あくまで習作です」
「でも本物の日本刀ですよね」
「作り方は別として機能的にはそうです。例えば」
俺はあたりにあった適当な細い木切れをもって、日本刀に近づける。
刀の刃の部分に木切れを当てて、そっと滑らせる。
「これ位ならあっさり切れます」
おーっ、という歓声。
次は竈だ。
「これは日本刀等の和式の刃物を作るために使う竈です。付加魔法で常時1500度以上になるように魔法をかけられています。またそれぞれの炉は日本刀等を作るのに便利な付加魔法がかかっています。魔法はそれぞれ接着、成分不変、展延性増大の3種類です」
そしてマイクロバスの方へ歩きながら説明。
「神像なんてここにはありません。ここはあくまで工房ですから。まあ見えざるピンクのユニコーンは見えないので、見えないし触れないけれど存在していると言われると困りますけれど。空スパ像も同じです。
あと、確かに今月頭までは私が仮眠するためのパイプベッドがありましたが、フレームを他の資材に使ったので現在はありません」
そしてマイクロバスの扉を開ける。
「これは前学生会長私有のマイカーです。確かに飛行機能もついていますが、中は普通のキャンピングカーです。見ますか」
全員頷いたので中へ案内する。
「お、本当にキャンピングカーだ」
「なかなかいい感じですね」
「中古のキャンピングカーですが、ひととおり整備し直してあります。噂通り飛行機能もついていますが、空中での推進と姿勢制御に結構な魔力を使います。あと当然ですが公道では普通免許が必要です」
「飛ぶんですか」
「何なら軽く浮かせてみましょうか」
俺はそう言って運転席につく。
ハンドルを引いて軽く手前へ。
すっと1メートルくらい車体が浮く。
「おおおっ」
再び歓声。
俺はハンドルを押してキャンピングカーを着地させ、それから外へ。
全員出てきたのを確認して鍵を閉めてから、最後にボートを案内する。
「これは春休み直前に作った作品で、飛行原理はマイクロバスと同じです。軽い分だけ必要な魔力が少ないです。個人認証がありますから学生会幹部しか動かせません」
本当は個人認証などない。
隠しスイッチがあるだけだ。
「これも乗ってみていいですか」
「どうぞ。何なら飛ばしてみましょうか」
「ぜひお願いします!」
との事なので4人を載せて少し浮かす。
そのまま工房を出て、そして一気に上昇。
学校を見下ろす位の高さまで上がる。
「思ったより安定していますね」
「加速度センサで姿勢制御していますから。ただ風には弱いので姿勢は低いままでお願いします」
俺はそのまま学校上空を1周して、そして工房へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます