欠乏症

忘れたい過去がある。

先生に怒られたこと。


忘れられない言葉がある。

嘘つき!


忘れたことの無い思い出がある。

初恋。


忘れてはいけないことがある。

なんだっけ。


明日になれば今日のことなんて忘れてしまう癖に、たった昨日のことよりも遥か昔の”何か”を思い出す。

気持ち悪い。


こうやって自分の都合のいいことしか思い出さない。

友達の約束も、小学校の友達の名前も、今思えばどれもどうでもよかったんだって気づく。

気持ち悪い。


こんな風に夜悩んでることも数年後には思い出すことすらなくなるんだ。

恐ろしく怖い。


絶対に記憶に留めてやる、なんて思ったことは何度もあったけど、今思えばそれがなんだったかも思い出せない。


記憶ってどうやら雑らしい。

僕の記憶が3歳の頃が最後だとしたら、果たして本当は何年生きていたのだろうか。


嗚呼、忘れたくないものだ。

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